337 コシアカツバメ

 上面は、頭部から後頸、背面、肩羽は金属光沢のある藍黒色。腰、上尾筒は赤褐色で、各羽の羽軸は藍黒色で、小斑点状となる。翼は金属光沢のある藍黒色。尾も同色で、深い燕尾型、特に両最外側羽は長くのびている。下面は、耳羽が淡赤褐色、喉から胸、腹にかけても淡い橙褐色で、各羽に黒色の軸斑があり、細いたてすじが密にならんで見える。下腹部は黒色。嘴は黒色、脚色は褐色。♂♀同色、同大。全長185mm。鳴き声は、ツバメに似るが、やや濁音の多い、ジュリリ、ジュリリ、チュル、チュル、とか、チュビッ、ジリリーと鳴く。夏鳥として、日本各地に渡来するが、暖地の方が生息地、個体数とも多い。おもに平地から山地の村落、町、市街地に生息する。通常、♂♀で生活し、ツバメと同じような環境で、昆虫類(カメムシ、ハムシ、カ、ハエなど)を空中で捕食する。飛翔はツバメより羽ばたきが少なく、尾羽を平行に保ちながら、ゆっくり、直線的である。巣材の土や枯草を採集する時以外は地上へ降りず、電線などで休止する。家屋の軒や神社、寺院などの軒、天井、土蔵の壁、停車場の天井、橋桁の下などに、土と枯れ草(藁など)を用い、徳利形の巣を造る。ツバメと異なり、集団営巣することが多い。産卵期は、5〜7月ごろで、斑紋のない、純白の卵を4〜5個産む。19〜20日ぐらいで孵化する。第2回目の繁殖をした場合、9月中旬から10月初旬に巣立つ。

 本種の生息範囲は、ツバメと一致し、各地で両種が同一環境内で生活している。この両種は、同じように人工建築物に営巣するが、その営巣場所に違いが認められ、ツバメが木造、コンクリート、モルタルなど、いずれの建築物にも営巣するのに対し、本種の営巣場所は、モルタル建造物が92%におよび、木造はごくわずかである(風間・千羽 1968)。

 本種の繁殖は、本州、四国、九州のほぼ全域にわたっている。本来、西日本など暖地に多い。近年分布域が北上し、今回の調査では確認されなかったが、北海道でも繁殖例がある(1972年 礼文島、1973年 根室)。本州では、日本海側で青森、太平洋側の宮城・岩手県境が北限である。佐渡、隠岐でも繁殖していて、隠岐は新分布地である。四国、九州は、やや個体数が少ない。対馬でも繁殖しているが、今回は記録がなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

269

39

59

367

構 成 比(%)

73.3

10.6

16.1

100.0

 

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