329 ヤイロチョウ

 嘴は太く、尾は短くて、脚の比較的長いムクドリ大の鳥である。頭上は茶褐色で黒い頭央線があり、黒くて太い過眼線と黄色の眉線がある。背は光沢のある暗緑色、翼の一部と上尾筒はコバルト色、尾は黒くて先端は青色、胸は黄白色、腹から下尾筒は鮮紅色、初風風切は黒くて白斑をもつ美しい鳥である。インド、セイロン、東南アジア、中国東南部、朝鮮、台湾、インドシナ半島からニューギニア、オーストラリアにかけて分布、一部北方のものは冬期南へ移動する。我国には夏鳥として少数が渡来し、愛媛県、高知県、長崎県雲仙、対馬で繁殖することが知られており、秋田、栃木、埼玉、長野、静岡、愛知、福井、和歌山、鳥取、島根、広島、愛媛、高知、福岡、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、対馬および壱岐などで記録がある。このうち宮崎、鹿児島、広島などでは繁殖期の記録があり、本州西南部、四国、九州では新しい繁殖地が存在する可能性がある。

 山地のよく繁茂した湿度の高い常緑広葉樹林や針広混交林などに生息し、従来の記録では海抜500〜1,200mの地域であるが、警戒心が強く、姿をみることは少ない。樹林中の木の根元のくぼみや岩石の隙間、太い木が交差した所などに、外部を木の小枝で覆った、蘚類でつくられ側面に出入口のある楕円形の巣をつくり、産座には松葉や細根を敷く。産卵期は5〜7月中旬であり、一腹の卵数は4〜5卵である。繁殖生活の詳しいことは明らかでないが、♂♀とも抱卵、育雛を行なうことが知られている。なお、採餌は主に地上で行なう。

 今回の調査では、繁殖の確認はできなかったが、Bランクのサブメッシュが西日本の7ケ所で記録された。このうち、紀伊半島東部と東海地方ではこれまで繁殖期の記録がなかった地域でいずれも囀りを確認したものであり、繁殖の確認が今後に期待される。一方、過去に最も繁殖記録の多い四国をはじめ、すでに繁殖が知られているいくつかの地域では今回まったく記録がなかったが、これは本種の生息地が山地の森林中であり、今回は特にそのような地域のみに留意して集中的に調査しなかったためであろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

7

0

7

構 成 比(%)

0.0

100.0

0.0

100.0

 

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