324 ア カ ゲ ラ

 上面は、額から頬にかけては淡褐色、頭部から背、腰、上尾筒にかけては光沢のある黒色。♂の後頸には赤色部があり、♀にはない。また幼鳥では、頭頂部全体が暗赤色である。翼は黒色で、風切羽部には白斑が横しま状にならんでいる。また肩羽部は大きな白斑があり、野外では目立つ。尾は黒色でくさび型。下面は、胸から腹、腕にかけ淡褐色で、下腹部は♂♀とも赤色。なお、顔から胸にかけては、黒色の顎線が続いている。嘴は黒灰色、脚は緑灰色。♂♀は頭部以外はほぼ同色、同大。全長235mm。鳴き声は、キョッキョッという声で、特に噌りはなく、他のキツツキ類と同様にドラミングを行ない、繁殖期のディスプレーの一つとする。留鳥として、北海道と本州の山地の森林に生息する。本州中部の北アルプス地方では、標高500m〜2,300mぐらいの落葉広葉樹や亜高山帯のオオシラビソ、コメツガなどの針葉樹とダケカンバ、ニレなどの落葉広葉樹との混交林、およびアカマツ林、雑木林などに生息し、時には標高2,500m以上の高山帯にも飛来する。東京では、標高600m以上の山地に生息し、アオゲラより深い森林にすむ傾向がある。

 通常、森林内で、単独または♂♀で生活し、堅い尾羽を利用して樹幹に垂直に止まり、嘴を使って幹に穴を開け、内部の昆虫類(ハチ、アリ、カミキリムシ、コガネムシ、ガの幼虫など)やクモ、ジムカデなどを、長い舌を使って穴から引き出し食べる。普通、幹のまわりをらせん状に登り採餌、移動する。地上に降りたり、細い枝やつるに止まること、普通の鳥のような姿勢で枝に止まることは、アオゲラより少ない。また漿果類を食べることも割合少ない。営巣は、落葉広葉樹や雑木林、亜高山帯の森林中のアカマツ、スギ、シラカバ、ハンノキ、ニレなどに、嘴を使って、直径4〜6cm、深さ22〜45cmぐらいの穴を掘り、巣とする。生木にも造るが、枯れ木や枯れかけた木に造ることが多く、電柱に造る場合もある。産卵期は、5月上旬〜7月上旬で、斑紋のない純白の卵を4〜6個産む。14〜16日で孵化し、その後20〜21日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道、本州のみであるが、今回の調査では、四国、九州でそれぞれ2例の観察が報告されている。今後の精査を必要とする。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

148

418

275

841

構 成 比(%)

17.6

49.7

32.7

100.0

 

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