321 ノ グ チ ゲ ラ

 オオアカゲラ大のキツツキで、全体赤味を帯びた煙黒色で、下腹部と下尾筒は赤味が強い。翼は褐色をおびた黒色で、三条程の白斑があり、尾羽は黒色で、♂の頭部ほ紅色をしている。1属1種で、分布は極めて局地的であり、沖縄本島北部に留鳥として分布するにすぎない。イタジイ、タブ、イスノキ、オキナワウラジロガシ、エゴノキ、アデクなどからなり、シダ類の混生する湿度の高いうっそうと密生した亜熱帯性広葉樹林に生息し、伐採路等に採食に現われることもある。営巣樹としてはイタジイやタブの半分枯れている古い大木が好まれ、高さ2〜15m、特に3〜6mのやや傾いた幹に毎年新しい巣穴を造るが、巣穴前方に枝葉がないことも営巣条件となっている(池原他 1975)。繁殖期は2月から6月の間であり、一腹の卵数は2卵である(Ogasawara and Ikehara 1977)。本種の生活生態についてはほとんどわかっていないが、繁殖期には早朝と夕方に活動が活発であるという。

 今回の調査では、沖縄本島北部の1サブメッシュにおいて繁殖が確認された。しかし、従来の知見とあわせてみても、繁殖地域はかなり限定されており、生息個体数は多くないと思われる。本種の個体数については、100〜200羽(黒田 1971)、40〜120羽(Short 1973)、90羽(池原他 1975)と異った推定値が発表されているが、いずれにしても100羽前後の極めて少数であることは確かなようである。生息地である亜熱帯性常緑広葉天然樹林の保存を基本として充分な保護対策が望まれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

0

1

2

構 成 比(%)

50.0

0.0

50.0

100.0

 

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