308 ヒメアマツバメ

 上面は、頭から背面、肩羽、上腰にかけては濃藍黒色。下腰から上尾筒の上部は白色、上尾筒の下部と下尾筒および翼、尾は濃黒色。喉は白色。尾は浅い凹尾で、広げると丸く見える。飛翔型は一見、アマツバメともイワツバメとも見えるが、大きさや翼の形が異なる。嘴は黒色。脚は黒色。♂♀同色、同大。全長130mm。鳴き声はチュリリリと鳴く。通常、群となって高空を飛翔し、空中で昆虫(カなど)を捕食する。

 本種は1929年6月に大東列島の南大東島で1羽採集された以外は日本では記録のなかった鳥であるが、1967年7月に静岡県静岡市内で繁殖が確認された。それ以来、本州、四国、九州の太平洋側の各地から続々と繁殖の確認が報告され、静岡市での繁殖確認以前から本種は日本列島沿いに北上していたと考えられている。

 台湾では、西海岸で普通に見られるが東海岸では記録されないという様に局地性の強い鳥で、市街地の高層建物、橋桁の下などに営巣する。また埔里の市街地には特に多く、あまり高くない家の軒にも多数営巣している。早朝や夕方には営巣地をはなれ、水田上や川面近くで多数乱舞していた(小林他 1977)。営巣に関しては、台湾では人家近く生息し、建築物や岩壁に、空中で採取した、ワラ、枯れ草、糸くず、獣毛、鳥の羽毛などで浅い椀形の巣を造り、斑紋のない純白の卵を2〜3個産むという。日本での営巣は、そのほとんどが、建築物やコンクリートの橋桁に造られたコシアカツバメやイワツバメのあき巣を利用し、自力で造巣したのは、静岡県熱海市の1例だけである。巣の入口に鳥の羽毛をつけるという共通した特徴が見られている。

 本種の繁殖は、前述の通り、静岡市内で発見されたのが最初であるが、その後、すでに観察されていた記録が報告され、日本への進入状況が明らかになってきている。本州での繁殖地は、太平洋沿岸で、北限は東京都(東京都公害局 1979)である。四国では従来、高知県が知られていたが、今回香川県でも記録されている。九州では熊本県の他、宮崎県でも繁殖が確認され、本種の分布が広がっていることが明らかになった。繁殖の動静が注目される、興味深い種である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

11

0

4

15

構 成 比(%)

73.3

0.0

26.7

100.0

 

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