307 ハリオアマツバメ

 アマツバメよりやや大きく、翼はさらに長く、尾は短く、羽軸が針のように突出している。シベリア中央部から樺太、千島、朝鮮、中国、台湾、アッサム、インドシナ半島などに分布、冬期はニューギニア、ニュージーランド、タスマニア、オーストラリアに渡る。我国には夏鳥として4月頃渡来し、10月頃に渡去する。北海道と本州で繁殖するほか、南千島、佐渡、四国、九州、対馬、壱岐、伊豆諸島の三宅島、八丈島、琉球列島の奄美大島と与那国島にも渡来する。北海道では平地にも生息するが、本州では亜高山帯から高山帯を主とする山岳地域に生息する。産卵期は6〜7月であり、山地の絶壁の岩の亀裂や高木の高さ5〜7mの樹洞中に、飛翔中風で飛ぶ枯草などを集め、ゼラチン状の唾液で粘着させて巣を造り、一腹の卵数は2〜3卵である(Dement' ev et al. 1966)。繁殖生態についての詳しいことはわかっていないが、繁殖期には2羽あるいは30羽位の小群で飛翔していることが多い。

 今回の調査では、北海道、東北をはじめ、関東、中部、山陰の各地方で生息が記録された。北海道では西南部で記録が少ないが、道央部を中心にほぼ全域で記録があり、道央部では繁殖が確認された。本州では関東地方以北に記録が集中しており、特に東北地方に多い。山陰地方での生息記録は、近畿以西では唯一のものであった。しかし、本種の生息地は山岳地帯が主であり、繁殖も確認しにくいところから、今後さらに精査する必要はあるが、今回の結果から、本州では主に中部山岳地方以北で繁殖しているといえよう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

4

11

156

171

構 成 比(%)

2.3

6.4

91.2

100.0

 

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