301 コ ノ ハ ズ ク

 頭部から背面、肩羽、腰、上尾筒は灰褐色で、灰白色や黒色のこまかい斑紋が複雑に入っている。翼は褐色で、黒褐色の小斑があり、また雨覆には白斑がある。尾は褐色で、黒褐色の横帯が数条ある。頭部には長い耳羽があり、後頸には赤味をおびた黄白色の頸輪がある。顔面は黄白色で、黒褐色の小斑点がある。胸から腹、脇は赤味をおびた黄白色で、黒色のたてじまがある。虹彩は黄色で、嘴は灰黒色。趾には羽毛がはえていない。♂♀同色、同大。全長200mmで、日本産フクロウ類では最小。なお本種には赤色型があり、全体赤褐色をしている。鳴き声は、ブッキョッコーと三音で鳴き、仏法僧とききなしている。なお、南西諸島にすむ別亜種は、コホッコホッと二音で鳴く。本種は、北海道、本州北部では夏鳥、本州中部以南では留鳥、もしくは夏鳥として生息する。本州中部の北アルプス地方では、標高1,000m〜1,600mぐらいのスギ、ヒノキなどの針葉樹林や亜高山帯のシラベ、コメツガなどの針葉樹林に生息し、秋期は標高500m以下の地域の林に生息する。愛知県鳳来寺山(標高684m)や群馬県迦葉山(同1,000m)、和歌山県高野山(同840m)などのスギ、ヒノキの林には多数生息していて、古くから有名であった。東京では、御岳山(標高1,040m)が有名であるが、標高1,000m以上の山地には、他でも少数ながら生息している。本州では比較的高い山に生息するようだが、北海道や南西諸島では平地でも生息している。通常、森林内で生活し、昼間は樹間で静止し、夜間採餌し、おもに昆虫類(オサムシ、ゴミムシ、ガなど)を餌とする。一般に姿は見つけにくく、独特の声によってその生息を認める場合が多い。営巣は、スギ、ヒノキなどの巨木の天然の樹洞や岩のさけめ、キツツキの古巣を用いるが、青森では巣箱使用例も見つかっている。産卵期は、5月上旬〜6月中旬ごろで、斑紋のない純白の卵を4〜5個産む。24〜25日で孵化し、その後21日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、従来、北海道、本州、および南西諸島、大東群島が知られていたが、四国、九州では繁殖は確認されていなかった。今回の調査でも、玄海灘の小島、福岡県沖島で繁殖が確認されているのは注目に値する記録である。本種は夜行性のため、繁殖確認のしにくい種であるので、今回の結果ではAランク記録は少ないが、北海道から南西諸島まで、日本全域で繁殖していると思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

7

116

6

129

構 成 比(%)

5.4

89.9

4.7

100.0

 

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