294 ツ  ツ  ド  リ

 上面は、頭から背面、肩羽、腰、上尾筒は灰黒色、翼は灰黒色。尾は灰黒色で、先端になるにしたがい藍黒色になる。また羽軸に白斑があり、横しま状に点在する。下面は、喉から胸は灰色、腹から脇、下尾筒は白色で、黒色の細い横しまが多数ある。♀は、喉がやや褐色をおびるが、野外では見えにくい。全体に、カッコウに酷似し、野外での識別は困難だが、腹部の黒帯が、本種の方が太くてあらい。また、♀には赤色型があり、全身褐色である。全体に、カッコウに似るが、やはり腹部の黒帯が太くてあらい。嘴は灰黒色。脚は黄色または黄褐色。幼鳥もカッコウに酷似するが、腹部の黒帯の幅が著しく広い。鳴き声は、ポゥポゥポポポ……と明瞭な声で連続して鳴く。♂の地鳴き、および♀はピッピッピッと鳴く。通常、昼間に鳴き夜間には鳴かない。夏鳥として、ホトトギス類の中では一番早く渡来し、全国の山地に生息する。本州中部の北アルプス地方では、標高2,500m以下の落葉広葉樹林、カラマツ林、アカマツ林、雑木林や、亜高山帯のシラベ、コメツガなどの針葉樹林などに生息し、時に高山帯にも飛来するが、通常、標高500〜1,500mくらいに多い。東京では、標高300m以上の丘陵地や山地に渡来し、山地の全域に生息するが、個体数は多くない。通常、単独で森林中で生活し、昆虫類の幼虫を好んで食べる。警戒心が強く、繁みから姿を出すことは少なく、姿を見る機会はあまりない。生息確認は、独特の鳴き声によることが多い。営巣は、他のホトトギス類同様、自分では巣を造らず、おもに、本州では、センダイムシクイに托卵することが多い。東京での繁殖期の調査で、本種の分布とセンダイムシクイの分布は、ほぼ一致することが判明している(東京都公害局 1979)。仮親としては他に、セキレイ科、モズ科、ウグイス亜科、ヒタキ亜科、ホオジロ亜科の十数種の記録がある。産卵期は、5月上旬〜6月下旬で、仮親に似た卵を、1巣1卵托卵する。育雛などは他のホトトギス類に似ると思われる。

 本種の繁殖分布は、従来、四国以北が確実で、九州では確認されていなかった。今回の調査においても、生息は各地で確認されているが、九州での繁殖の確認はなかった。今後の調査に期待される。本種は北海道および本州北部では、平地から山地まで普通に生息するが、他の地域では、おもに山地に生息し、個体数は少ない。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

10

1,036

98

1,144

構 成 比(%)

0.9

90.5

8.6

100.0

 

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