292 ジ ュ ウ イ チ

 上面は、頭から背面、肩羽、腰、上尾筒は灰黒色。翼も灰黒色。尾は褐色をおびた黒灰色で、黒色の幅のせまい帯が3〜4条ある。後頸には白い輪がある。下面は、胸は淡赤褐色で、下腹にかけるにしたがって淡くなり、他のホトトギス類のような黒い横しまはない。嘴は灰黒色で、先端や基部付近は緑がかった黄色。脚は淡黄色。♂♀同大、同色。全長320mm。幼鳥は、翼と尾が赤褐色味をおび、胸から腹は白色で、黒いたてすじがある。鳴き声は、ジュイチー、ジュイチー、と激しい声で、くり返して鳴き、だんだんテンポを速め、最後はジュク、ジュクという声を入れ、また同じように鳴き始める。通常日中に鳴くが、夜間や夜明けごろ、飛行中にも鳴く。夏鳥として、全国の山地の森林に渡来する。本州中部の北アルプス地方では、標高500mから2,400mのブナ、ナラなどの落葉広葉樹林やカラマツ林、アカマツ林、雑木林などや、亜高山帯の落葉広葉樹や針葉樹との混交林などに生息し、ときに高山帯にも飛来する。東京では、標高500m以上の山地全域に生息する。一般に、標高1,000m前後の地域に個体数が多い。通常、単独で森林中に生活し、昆虫の幼虫を好んで食べる。姿を見ることは少なく、生息確認は、おもに独特の鳴き声による。

 繁殖は、他のホトトギス類と同じように、自分で巣は造らず、おもにコルリ、ルリビタキ、コマドリ、オオルリなどの巣に卵を託し、仮親に育てさせるという方法をとる。仮親としては、他にビンズイ、ノビタキ、クロツグミ、アカハラ、キビタキ、コサメビタキなど十数種類におよぶ。本種は、この奇習のため、仮親の生息している所にしか生息せず、ホトトギス類の中では最も標高の高い所に生息している。産卵期は、5月中旬〜7月中旬で、斑紋のない青緑色の卵を、1巣1卵、仮親の卵を1個抜きとり托卵する。卵の色はコルリのそれに似る。ごく短期間で孵化し2〜3日のうちに巣内の他の卵や雛を自力で外へ廃棄し、巣を独占し、仮親の育雛を受け、19〜20日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、従来、四国および本州北部以北とされていたが、大分県玖珠郡の飯田高原で、オオルリの巣に托卵されているのが発見され、九州でも繁殖している事実がわかり、また今回の調査で、中国地方の山地や紀伊半島の大台ケ原などに、繁殖又はその可能性があることがわかり、繁殖は九州以北であることが判明した。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

8

440

40

488

構 成 比(%)

1.6

90.2

8.2

100.0

 

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