257 ベニアジサシ

 中国南部沿岸、フィリピン、ソロモン諸島、ニユーギニア等で繁殖する。我国には夏鳥として春は4〜5月頃渡来し、秋は9月頃まで滞在する。奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島で繁殖する事が知られている。大きさはアジサシよりも少し小さいが尾が長く、止っている時にたたんだ翼の先より尾の先がずっと出ている点でアジサシと区別出来る。嘴は細くて長く先端は黒く、基部は紅色、脚は橙赤色、背はアジサシよりも淡い灰色で夏羽では下面がうすいピンク色をしている。頭はアジサシと同様黒色をしている。♂♀同色。鳴声はギリッ、ギリッとにごっている。海岸に近い岩礁上に集団で営巣する。岩礁上のくぼみや、草の上をそのまま巣としたり、あるいは砂の上にくぼみを作って巣としたりするが、いずれの場合も巣材は全く使用しない。産卵期は6〜7月頃にかけてであり、卵数は1〜2個で卵の色は灰黄色の地色で暗褐色、青灰色等の斑点がある。♂♀共に抱卵し、孵化直後の雛は全身に幼綿羽が生えている。餌は動物質で主に小魚類を食べる。餌を採る時は水面に垂直に飛び込み、斜めからの時は嘴だけ水に入る程度である。

 今回の調査結果では種子島で繁殖を確認しただけに終っている。繁殖は確認出来なかったが、繁殖の可能性のあるBランクが鹿児島県馬毛島であり、又生息を確認したが繁殖については何とも言えないCランクが鹿児島県奄美大島で1ケ所あっただけであった。この様に少ない繁殖確認となってしまったが、奄美大島付近では夏期かなりの数が見られているし、従来与論島、徳之島等でも繁殖が確認されているので、オオアジサシと共に今後の調査に期待する。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

1

1

4

構 成 比(%)

50.0

25.0

25.0

100.0

 

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