241 オオセグロカモメ

 オホーツク海、ベーリング海沿岸、樺太、千島、北海道、本州北部の沿岸で繁殖する。冬期は北海道、本州中部以北の太平洋岸に多く、本州中部以南では少ない。北海道には一年中いるが秋頃から数が増え、冬にはカモメの仲間のほとんどが本種によって占められてしまう程である。港、漁場、河口、海湾、沿岸の岩礁、島嶼等に生息するが漁港には特に多い。カモメの仲間では大型で、全長は600mm位あり、夏羽成鳥では頭部から胸、腹、尾は白く、背は石板色で、他の大型カモメのセグロカモメ、ワシカモメ等より一層暗色である。嘴は黄色で下嘴に赤色の点がある。脚は肉色である。冬羽では顔に褐色の斑点がある。幼鳥は褐色と白のまだらで、尾は一年目は黒褐色であるが年々白色部が多くなる。営巣場所は島や海岸近くにある岩壁の棚や海岸の岩礁の上、海に面した草原等で巣は枯葉、枯草、海藻、羽毛等を積み重ねて扁平粗雑な巣を作る。産卵期は5月下旬〜7月頃までである。卵数は普通3〜4個で2個の場合もある。卵の色は暗緑色、灰褐色で、暗褐色、灰青色の斑点、条斑等が散在する。本種はケイマフリ、ウミガラス、ウミウ、チシマウガラス等のすぐ近くに巣を作り、集団で繁殖する場合が多い。ケイマフリやウミガラスが餌を運んで来るのを待ちかまえていて餌を横取りしたり、他の海鳥をおそって魚をはかせる等トウゾクカモメの様な習性がある。又他の鳥の雛や卵を食べる他、鳥類、魚類、哺乳類等の死体や臓物等も好んで食べ、甲殻類、軟体動物、環形動物、昆虫類等も食べるので漁港、海岸のそうじ屋として役立っている。

 従来の繁殖記録は北海道だけで、釧路支庁の厚岸湾にある大黒島が最南の繁殖地として有名であった。その後本州でも1973年に岩手県三貫島で巣卵が発見され、1978年には陸中海岸で繁殖が確認された。今回の調査では北海道で5ケ所繁殖の確認があったが従来知られていたものより少なく、天売島での繁殖記録がぬけている他、知床半島先端でも繁殖しているようである。この様に繁殖確認が少なかった原因としては、海から船で探すだけでは繁殖の確認は出来ず、島に上陸する事によりはっきり確認出来る事、又調査範囲も陸から探すだけでは狭くなってしまい、船の通っていない場所での調査がほとんど出来なかった事等が考えられる。本州では岩手県で1ケ所繁殖が確認された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

6

1

13

20

構 成 比(%)

30.0

5.0

65.0

100.0

 

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