227 オ オ ジ シ ギ

 日本には夏鳥として渡来し、冬期は遠くオーストラリア、ニューギニア、ニュージーランド、タスマニア等に渡る。日本のみで繁殖が知られていて、北海道では草原、本州中部では高原に繁殖し、特に北海道では多い。春は4月中旬から渡来し始め、秋は10月中旬までに渡去するが、一般に秋の渡りはタシギより早く始まる。春と秋の渡りの時期には低地の水田、蓮田、湿地等タシギと同じ環境に生息するが、繁殖地では水辺からかなりはなれた草原である場合が多い。大きさはタシギよりも大きく太っている。体色は全体的にタシギよりも淡色で特に飛翔時には雨覆部分が著しく淡く、翼の後縁の白線はなく翼の下面はタシギより暗色に見える。飛び立つ時又は飛翔中に濁った声でゲエッ又はゲッと断続的に鳴く。飛立ちの時は翼動浅く重そうな感じで羽搏き、一気に長距離は飛ばず高度もそれ程高くなく弓なりに飛び近くの湿地に降りる事が多い。繁殖期には、空を飛びまわりながらズビー、ズビー、ズビーと最初はわりあいゆっくりと鳴き、しばらくするとズビアク、ズビアク、ジーエップ、ジーエップ等と鳴いて飛びまわり、翼をすぼめ、尾羽を広げて急降下しながらガガガガガーという大きな音を発して又上昇して最初からくり返す、特徴あるディスプレイ飛行を行なう。又この時期には付近の電柱、杭、木の枝先等にとまって鳴いているのを良く見かける。草原や灌木の散在する草原等で、草むらや灌木等の根本のくぼみに皿形の巣を作る。産座には枯草や枯葉等を敷く。産卵期は早いものでは5月上旬に始まり6月下旬頃までで、卵数は通常4卵で3卵の場合もある。卵の色は灰褐色、黄褐色等で、暗褐色、灰色、淡紫褐色の斑点が散在する。餌は動物質が主でミミズを好んで食べる他昆虫類や植物質では禾本科の種子等を食べる。今回の調査では、北海道では南北に走る北見山脈、大雪山、十勝岳、日高山脈の山岳地帯を除きほぼ全土で生息を確認している。一方本州では繁殖の確認は岩手県と栃木県で、それぞれ1ケ所で記録されたに止まった。従来から繁殖が確認されている軽井沢周辺で生息の確認がないが、1969年の6月には生息していたので多分繁殖しているものと思われる。近畿、中国地方、九州及び九州以南では生息が確認されなかった。ところが四国の柳谷村五段高原でBランクが1ケ所あり今後の調査に期待する。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

33

192

35

260

構 成 比(%)

12.7

73.8

13.5

100.0

 

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