222 ヤ マ シ ギ

 北海道では平地の林で繁殖し、本州中部以北では低山帯の林、伊豆七島ではシイやタブ等の常緑広葉樹林内で繁殖する。北海道では夏鳥であり、冬期は積雪のない地方の低地へ移動する。大きさはキジバトよりも大きく、太ったシギで、首も脚も短かいが嘴は真っすぐで長い。体は赤褐色、黒褐色、灰褐色等の組み合わさった複雑な模様をしていて、落葉の色とよく似ており、冬期雑木林等でうずくまっているとカモフラージュの効果は大である。

 ♂♀同色である。冬期は、常緑樹と落葉樹の混ったあまり密でない林や、低木林、雑木林、竹やぶ等にいて、日中はあまり活動せず、夕方から近くの湿地へ、餌を取りに出かける。平地の林や低木林、雑木林、落葉広葉樹林等に営巣する。又三宅島等ではシイやタブの常緑広葉樹林内に営巣する。巣は喬木、灌木等の根元、草むら中の地上のくぼみに皿形の巣を作る。産座には落葉や枯草等を敷く。産卵期は4月上旬〜6月下旬にかけて、普通4個の卵を産むが3卵の場合もある。卵の色は黄色又は褐色を帯びた灰白色又は乳白色で、淡褐色、灰白色等の大小の斑点が全面にある。孵化してまもない雛は全身に綿毛が密生している。餌は主に動物質を食べ、特にミミズを好む。又昆虫類、甲殻類、軟体動物等や種子等も食べる。繁殖期には夕方薄暗くなると、キチッ、キチッ、ブーブー等と鳴きながら飛びまわり、滑翔、急降下飛翔等を行なう。又地上で尾を高く扇形に広げて、翼をバタバタはばたいてディスプレイを行なう事もある。

 従来からの繁殖地は北海道、本州、四国、伊豆七島等となっている。今回の調査で本種の繁殖が確認されたのは、ほとんどが北海道で、本州では新潟県のただ1ケ所に過ぎない。本州では茨城県と岩手県において繁殖期の生息を確認したのみである。伊豆諸島では1970〜1973年にかけて全島で繁殖が確認されているので、今後の調査での確認が期待される。本種は比較的生息数が少ない上に、夜行性の為、昼間の調査では姿をみつけるのが難かしい。しかも、昼間はほとんど鳴かない上に、抱卵中はじっとしている場合が多く、確認のしにくい鳥の一つである。この様な種については今後継続して調査を行なう必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

15

15

23

53

構 成 比(%)

28.3

28.3

43.4

100.0

 

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