203 アカアシシギ

 日本には主に旅鳥として、海岸の河口の干潟、湿地等に春秋渡来するが、数は少なく、冬期は中国南部、マレー諸島、インドシナ半島等に渡る。1967年頃から北海道の風蓮湖周辺でかなりの数を夏期観察しているので、繁殖の可能性があるのではないかと言われていたが、1972年7月に野付半島で雛が発見され、我国での初の繁殖記録となった。翌年巣と卵も発見された。体色は名前の様に赤い脚で、嘴も先端の黒色を除いて赤色である。下面は白く黒色の斑紋があるが冬羽では胸の斑紋は細かくなる。大きさはツルシギより一回り小さく、飛ぶと次列風切と腰が白いので独特のパターンとなる。渡りの時の鳴声はピーチョイチョイという様な声を出す。営巣場所は湿原であるが近くには湖沼があり、草原とハマナス等の点在する開けた場所でエゾマツ、トドマツ等の林も存在する様な所で、巣は湿地の少し高くなった所の草の中等にあり周囲は草むらで覆われている。日本で初めて発見された卵の数は4卵で、濃いチョコレート色の斑のある洋梨型の卵であった。雛はクリーム色の地に濃いチョコレート色のたてじま、ふわふわした綿毛におおわれ、黒いひとみと体に不つりあいに長い脚と趾を持っている。餌は主に動物質で昆虫類、軟体動物、甲殻類、環形動物等である。その後風蓮湖周辺及び霧多布でも繁殖が確認された。

 今回の調査でも、前述の野付半島付近と風蓮湖付近の2ケ所で繁殖が確認されているだけで、その他の場所では夏期に生息が確認されていない。繁殖期にはハマナスの枝や杭の上等にとまり、ピョイ、ピョイと鳴き、上空をまわりながらピュイ、ピュイ、ピュイ又警戒する時はピッピッピッ又はキョキョキョ等と鳴く。野付半島及び、春国岱では合計すれば現在100羽内外いるものと思われる。従来稀なシギとされていたが、千葉県新浜の記録によると1961年頃よりほぼ毎年少数(3羽以内)ではあるが春又は秋に旅鳥として通過していく様になり、1970年以降各地で記録されている。北海道で繁殖した個体が来ているのかどうかははっきりしていないが、うれしい事である。又冬期の越冬記録としては先島諸島の石垣島アンパルのマングローブのしげる干潟で20羽以上の群れを1980年1月3日〜1月5日にかけて観察し、更に沖縄の漫湖でも1月6日に28羽以上を数えているので、かなりの数が先島諸島付近で越冬しているものと思われる。この様に調査が進むに従い巣と雛の発見、越冬の記録も増え、今後北海道の東端のみでなく、他の地域でも本種を見る可能性が充分あり得るので、注意する必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

0

0

2

構 成 比(%)

100.0

0.0

0.0

100.0

 

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