182 ケ      リ

 本州北部では夏鳥として繁殖し、本州中部では留鳥として水田、草原等で繁殖する。冬期は本州中部以南から九州にかけての水田や干拓地付近に生息する。数は多くなく、局地的な鳥であり、関東地方ではほとんど見る事が出来ない。大きさはハトより大きく、チュウシャクシギ位もある大きなチドリで、脚が長くスマートである。上面は褐色で下面は白い地味な鳥であるが、飛ぶと白、黒、褐色の模様が鮮明に出る。飛ぶ時及び飛びながらケリリ、ケリリ又はキッ、キッという様な鋭い声で鳴く。産卵期は3月下旬〜6月にかけてであり、営巣環境は広い河原の草地、山麓の草原、畑地、水田の畔等である。巣は、地上に窪地を作って、枯草、木片、茎、コケ類等を敷いて作る。卵は普通4卵であるが3卵の場合もある。卵の色は灰褐色、灰緑色等で、暗褐色、灰青色等の斑点が全面にある。生まれた雛は孵化後まもなく歩き始める。繁殖期には、ある程度のナワバリを有し、他のケリをよせつけない。又警戒心が強くてなかなか近寄せないが、特に繁殖期には警戒心が強く、人やイヌが巣に近づくと激しく鳴き叫び、頭上をかすめて攻撃飛翔をし、上空をうるさくつきまとう。ケリよりも大きいカラス、ノスリ、トビ、チュウヒ等にも向って行き追い払ってしまう。又コチドリ等と同じく擬傷を行なうこともある。餌は主に動物質を食べ昆虫類、軟体動物、ミミズ、ヒル、カエル等を食べる他、イネ科の種子等も食べる。

 従来の繁殖記録によると本州中部から東北地方にかけて繁殖している事になっており、今回の調査でもそのことが確認された。古い文献によれば、主に東北地方で繁殖するということで、我国最南の繁殖地として栃木県が知られていたが、その後1956年に近畿地方でも繁殖が確認され、それから後は次々と繁殖が確認されて今日に至っている。今回の調査では東北地方はむしろ少なく、近畿地方で多く繁殖が確認された。又関東地方では繁殖の確認は出来なかった。本種は局地的な鳥であるが、巣に近づくと、鳴きさわぐ習性があり、繁殖の確認は比較的容易と思われるので、見落しは少ないものと思われる。それにしてもなぜ東北地方が減少し、近畿地方で増加しているのか不明である。新潟県、富山県、福井県、石川県、京都府、兵庫県等でも繁殖が確認され、関西方面では拡大傾向にある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

62

56

20

138

構 成 比(%)

44.9

40.6

14.5

100.0

 

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