175 シ ロ チ ド リ

 北海道では夏鳥として、春は3月から渡来し、10月頃までに渡去する。本州以南では留鳥で1年中いる場合が多い。冬は大きな群れを作り、海岸や干潟等にいて、ハマシギ等との混群でいる事もある。大きさはコチドリより少し大きくイカルチドリよりも一回り小さい。上面は灰褐色で、♂は頭と胸のわきに黒色があるが、♀は褐色である。嘴と脚は黒い。ピィル、ピィルと鳴きながら飛んでいる事が多い。海岸の砂浜や大きな河の河口から中流にかけて砂礫地で繁殖している。繁殖期にはコチドリやイカルチドリ等の様に鳴きながらぐるぐる飛び回る様な動作をしないで、地上でジュク、ジュクと言う様な声を出す事がある。又抱卵中や雛が近くにいる時等に害敵が近づくと、ポイという大きな声を出す事がある。産卵期は3月下旬頃〜7月下旬頃にかけてである。営巣場所は海岸、河口の砂礫地、河川の中流にかけての河原や河洲及び埋立地等にあり、わずかに窪みを作り、貝殻の小片、小木片、小石等を敷いて粗末な巣を作る。卵数は普通3卵であるが、中には4卵の場合もある。卵の色は淡黄褐色で暗褐色の小斑や条斑、灰色の小斑が散在する。生まれた雛はすぐに巣から離れるが、体色が地面にとけこむので地面にすわりこんでしまうと見分けがつきにくい。繁殖期にはイカルチドリやコチドリと同様擬傷をする習性がある。餌は動物質を主としてとり、昆虫類、クモ類、環形動物のゴカイ、軟体動物の小貝類、甲殻類のトビムシ等を食べる。特にゴカイをつかまえた時など、ゴカイが切れない様に上手にゴカイと綱引きをするのが海岸の干潟では良く見られる。

 従来から日本全土で繁殖が確認されており、今回の調査でも全国的に繁殖が確認されたが、繁殖例は思った程多くなかった。中でも北海道では根室地方でただ1ケ所繁殖が確認されたに過ぎない。イカルチドリやコチドリに比べるとより海岸に近い所で繁殖している事が繁殖地図から良く判る。その他九州よりはるかに南の沖縄本島及び先島諸島の石垣島でも繁殖が確認された。

 本種の個体数は、明らかにコチドリよりも多いのに、繁殖確認はそれよりも少なくなっている。その理由として考えられる事は本種はかなり集団的に繁殖するのでその影響もあるものと思われる。又繁殖期に飛びながら鳴かないので、本種の確認がコチドリ等に比べて困難な理由となっているようである。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

112

27

55

194

構 成 比(%)

57.7

13.9

28.4

100.0

 

繁殖分布地図索引へ