174 イカルチドリ

 本州北部及び北海道では夏鳥であり、春は4月頃渡来し、10月下旬頃渡去する。その他の地方では留鳥として周年生息する場合が多い。体色はコチドリによく似ているが、顔の黒、目のまわりのリング、脚の色共淡色である。大きさはコチドリよりも大きく、およそムクドリ位の大きさのチドリである。♂♀ほとんど同色である。繁殖期には翼を浅くはばたいてぐるぐる回りながらピョ、ピョ、ピョと連続的に鳴いて飛び回っている。又翼を斜め上に伸ばしたまま着地する動作をよく行なう。地上でもよく鳴く。河川の中流から上流にかけて多く、コチドリより上流にいる事が多い。河口の三角洲や海岸の砂地等にいる事もあるが干潟へはめったに出ない。産卵期は3月中旬から7月上旬頃までで、卵数は通常4卵の事が多いが中には3卵の場合もある。巣は河川の中・上流の河原や河洲の砂礫地や草がまばらに生えた場所に地面をわずかにへこませて窪地を作り、木片、枯草、小石等を少量敷いただけの、巣とは思えない様な粗末なものである。卵の色は青味を帯びた淡黄褐色で淡褐色と灰青色の微小斑が全面にある。抱卵は♂♀共に行なう。生まれた雛はコチドリ等と同様すぐに巣から離れるが、まわりの石と区別が出来ない程地面にとけ込んでしまい、みつけるのは困難である。雛ばかりでなく、卵もまわりの石にまぎれてなかなか探せないのが常である。抱卵している場合、及び雛が近くにいる場合にはコチドリと同様擬傷を行なう場合が多い。餌は主として動物質を取り、昆虫類の幼虫、成虫等が主なものである。

 従来から北海道を除く日本全土で繁殖が確認されているが、今回の調査でも全国的に58のサブメッシュで繁殖が確認された。北海道では十勝地方で1例確認されたのが注目され、B、Cランクも記録されているので今後の調査に期待するところ大である。四国、九州でも記録されたが、本州中部以西で比較的多く繁殖が確認された。コチドリの繁殖地図と比べると、明らかに河川の中・上流で繁殖している例が多いことが、はっきり判る。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

58

78

41

177

構 成 比(%)

32.8

44.1

23.2

100.0

 

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