170 タ マ シ ギ

 本州中部以南の水田、休耕田、蓮田、湿地等に留鳥として周年生息するが、本州北部では極めて少ない。関東では冬期ほとんど見られてない。大きさはタシギより大きく、脚は短かく太っているので大きく見える。♀は♂より美しい色をしている。胸部は♀は赤褐色、♂がこげ茶色をしている他、♀の方が全体的に、はでな色をしており、♀の方が♂より少し大きい。♂が抱卵、育雛を行ない、一妻多夫という繁殖習性をもつている。♀は3月頃から鳴き始め、最盛期は5月で、8月頃まで鳴き、10月にもまれに鳴く。夕方から夜にかけて最も良く鳴き、昼間でも鳴く事がある。鳴声はコーコーコーコーと連続して、遠くからでもきこえる。♂の前では翼を上に伸ばしてチョウが羽を振る様な動作をしながら体を左右に動かし、ゴォーゴォーと鳴きながらディスプレイをする。又警戒時はギシッ、ギシッと鳴く。蓮沼、水田、沼沢、アシ原等に営巣し、巣は水辺の草むら、イネ株のくぼみ等に皿形の巣を作り、産座にはイネ科植物の葉、茎等を敷く。巣は♂が主に造り♀も手伝う事がある。巣が出来て交尾、産卵が終了すると♀は次の♂を求めて移動する。産卵期は4〜7月にかけてであるが、まれに10月頃の例があり、千葉県の新浜で11月に♂親の半分程度しかない幼鳥をつれていた観察例もある。雛をつれている時やその他の場合に擬傷を行なう事もある。卵は通常4個であるが3〜6個の場合もある。卵の色は黄灰色で、黒褐色の粗大斑と淡紫色の斑点が全面にある。餌は主に動物質でミミズや昆虫類を食べる他、イネ科の種子等も食べる。

 従来より繁殖地は関東以西と言われていたが、今回の調査でもそれが裏付けられた。北海道では生息の確認は認められなかったし、東北地方ではわずかに福島県で生息は確認したが、繁殖については何とも言えないCランクが1ケ所あっただけである。本種は割合開けた場所で餌を取っていて、早朝とか夕方見かける事が多く、雨や曇っている日には日中でもよく活動し、休耕田等でよく見かける。敵に見つかると地面に伏せてしまってなかなか動かなかったり、草むらへ、クイナの様に入りこんでしまい、なかなか飛び立たないので探しにくい鳥であるが、繁殖期には早が良く鳴くので声でさがす事も可能である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

58

53

16

127

構 成 比(%)

45.7

41.7

12.6

100.0

 

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