144 エゾライチョウ

 全長355mm。♂は喉が黒で、その周囲の白色部は目先から頬までの白線に連らなる。目の上に小さな白色部があり、その後に白い眉斑がある。頭から背にかけての上面は、灰褐色で黒の細い横縞がある。肩羽は赤褐色で黒色の斑と白色の大きな斑紋とがある。胸、腹、下尾筒は褐色で白色の羽縁と黒色の横斑があり、白色縁は下腹ほど幅が広くなり、白い所が多くなる。♀では、後首、背で♂よりも赤褐色が強く、喉は赤錆色を帯びた白色で、黒褐色の小斑がある。嘴は黒褐色。北海道とカラフトに留鳥として周年生息し、北海道では平地の森林から高山まで生息する。平地では、エゾマツ、トドマツ、カツラ、ナラなどの混交した原生林に、山地ではトドマツの純林や山頂近くのハイマツ、ダケカンバ、などの低木林に生息する。夏は常に番で生活し、森林の草むらを歩きながら餌をあさる。繁殖期の終わりには、10羽前後の雛を連れている。追われた時などは、翼をはげしく打って、直線的に飛び、近くの樹枝上に止まりじっとしている事が多い。砂浴を良くする。冬期は、トドマツ、エゾマツなどの大森林中に群れをなして生活し、雪中に穴を掘って、その中にうずくまって休むことがあるという。♂はピルルーとかピッピッピッとか、チッチッチッと、♀はシッシッシッ、シッシッと鳴く。主として植物食で、コケモモ、ツルコケモモ、エゾイチゴ、ニワトコ、ヤマブドウ、ドロヤナギ、シラカバ、ハンノキなどの漿果、葉、花、花穂、冬芽などを好んで食べ、夏には、昆虫類も食べる。

 森林の地上に営巣する。巣は低木の根元や倒木の下にあり、周囲は草むらで覆われている事が普通。地上に窪みを作って巣とし、産座には、草をわずかに敷く。産卵期は5月下旬から6月。卵は赤錆色を帯びたクリーム色で、赤褐色と暗褐色の大小の斑点が散在し、時に、斑点が鋭端に集中する。40×29mm。1腹卵数は6〜12個。時には14個。孵化日数、巣立日数は不明。

 今回の調査では、北海道南部渡島半島から道北、道東まで、ほぼ全域に渡って分布していることが知られた。今回の調査では、北海道全域に分布・繁殖していることが確認されたが、その繁殖生態については、明らかでない部分も多い。本種の環境選択、繁殖生態等の解明を行い、本種とその生息環境を保護する必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

31

34

22

87

構 成 比(%)

35.6

39.1

25.3

100.0

 

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