143 ラ イ チ ョ ウ

 全長約370mm。北方系の鳥類で、氷河期に大陸から渡来したものが、気候の温暖化により高山に逃れ、残存したといわれている。季節によって羽色がかわる。♂の夏羽では額、頭上、後頭は黒色で、黄色味がかった赤茶色の横斑が多く、体の上面は黄褐色を帯びた暗灰褐色で黒と白の細かい横縞と、ところどころに黒色斑がある。胸と脇は背と同じ色であるが、腹以下は純白である。目の上には赤色の肉冠があり、脚には白い羽が生えている。♀の夏羽では黒色の過眼線がなく、頭部や体の上面および上胸、脇は、黄褐色に黒色の横縞があり、上面で荒く、下面が細かい。腹は白い。冬羽では、♂♀ともに、ほぼ純白であるが、♂にある黒色の過眼線が♀にはない。

 北アルプス、南アルプス、中央アルプス、白山などの標高2,400m以上のハイマツ帯に留鳥として生息する。夏は岩石の塁々と積み重なった山頂付近にも良く現われるが、冬期は、少し下がって森林帯上部で、雪から出ている芽や花穂を食べる。小群又は番で、ハイマツ、草原、岩石地などを歩きながら餌を探し、ワシ、タカ類による捕食を避けるため朝夕に活動することが多い。雨や霧の時は昼間も行動する。地上生活することが多いが、ハイマツ、ダケカンバなどの下枝に止ることもある。飛ぶ時は、早く激しい翼動で、一直線的に飛ぶ。繁殖期の初期にはテリトリー確定のため、飛び回ることが多い。この時期は、ゴロゴロ又はゲェレゲェレと聞こえるカエルのような声で鳴く。雨や霧の中でも良く鳴く。雑食性であるが、ツガザクラ、コケモモ、ガソコウランなどの新芽、葉、花、果など、オンタデ、タカネスイバの種子、新芽、ハイマツの芽など植物質を多く食べ、夏には、双翅目、膜翅目、鞘翅目、鱗翅目など昆虫の成虫および幼虫を食べる。

 繁殖地は、標高2,400〜3,100m位の高山帯でハイマツの根元など地上部に凹地を作って営巣する。産座には、付近の高山植物の葉を敷く。直径16cm、深さ8cm。産卵は5月下旬〜7月上旬、卵は淡黄灰色の暗褐色の大小の斑点がある。47×31mm、25g。1腹卵数は5〜10個。時に12個。抱卵は♀のみが行う。孵化日数、巣立日数は不明。

 今回の調査では北アルプス、南アルプスから繁殖確認の報告があった。この他に、加賀白山、新潟県火打岳、奥秩父・金峰山(放鳥したもの)などに生息する事が知られている。登山者とゴミの増加が特別天然記念物ライチョウの生息をおびやかしていることは明白である。生息環境の保護を早急に実施すべきである。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

24

0

0

24

構 成 比(%)

100.0

0.0

0.0

100.0

 

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