142 チョウゲンボウ

 小型のタカで、♂♀異色。♂は頭上青灰色で、背はれんが色をして黒色三角形斑が散在し、下面はクリーム色、尾は青灰色で先端に幅の広い黒帯がある。♀は上面灰褐色で赤褐色斑が散在し、下面は汚白色で黒褐色斑があり、尾は黒と赤褐色の横縞となっている。旧北区に広い分布を示す。すなわちヨーロッパ全域をはじめ、北緯65〜68度のシベリア、オホーツク海西海岸から朝鮮、中国南部、ビルマ、ヒマラヤ、インド、中近東、アフリカ全域、セイロソ、フィリピン、インドネシアまで分布している。我国においては、本州中部で繁殖が知られているほか、北海道、本州、四国、九州、佐渡、対馬、種子島、伊豆諸島の八丈島、鳥島、小笠原諸島、硫黄島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、鳩間島、黒島、与那国島で記録されており、本州中部以南では主に冬期にみられる。平地から高山帯まで生息し、原野、農耕地、丘陵地や林縁部に多く、海岸部でもみられるが、概して広い開けた土地を好むようである。低山帯の赤土の断崖の穴やヤマセミの巣穴、タカ類、カラス類の古巣、断崖の岩棚などに営巣するが、巣材はほとんど使用せず直接産卵する。ヨーロッパでは城壁にも営巣するといわれ、我国でも校舎の天井裏や倉庫の換気筒での繁殖記録がある(小沢 1964、日本野鳥の会 1977)。繁殖期は4〜7月で1腹の卵数は4〜5個である。産卵は2日おきに行なわれ、孵化日数は27〜31日、育雛日数は27〜33日である。なお、本種は集団繁殖も行なう。

 今回の調査では、北海道から九州まで生息が認められた。北海道では道央と道東で生息が記録されたが、繁殖については従来通り確認はされなかった。本州では東北地方南部4サブメッシュと中部地方1サブメッシュの5ケ所で繁殖が確認され、また関東平野北部と北陸地方北部の各1サブメッシュで繁殖の可能性が記録された。本州南部、四国、九州では生息が認められたにすぎないが、従来これらの地方からは繁殖記録がないため、繁殖期における今後の精査が望まれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

5

2

19

26

構 成 比(%)

19.2

7.7

73.1

100.0

 

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