127 ノ  ス  リ

 全長約540mm。頭、首、肩羽、腰、尾など体上面は暗褐色で、茶褐色の羽縁がある。顔は淡黄灰色。喉は暗褐色。胸など体下面はクリーム白色で、暗褐色の斑点がある。胸側と脇に暗褐色の縦線があり、胸の暗褐色斑と連らなり、ぼんやりとした腹帯をなしている。脚から下は灰白色。尾の下面は淡いクリーム白色で、丸い形。黒帯はない。翼下面は、尾と同じ色で、翼に暗褐色の縁どりがある。また、初列風切の基部に暗褐色の部分があり、野外では目立つ。脚は帯緑黄色。虹彩は褐色。嘴は黒色で基部黄色。♂♀はほぼ同大で、野外での識別は困難。東部トルキスタン、ヒマラヤ地方、中国北部、ウスリー地方、朝鮮、日本に繁殖し、日本のものは留鳥であるが、大陸のものは、冬期、インド、ビルマ、中国南部に渡るという。我国では、北海道、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、新島、神津、三宅、御蔵、八丈)、奄美大島、石垣島、与那国島で記録されている。また、小笠原群島、大東群島にも、各々の別亜種が、留鳥として小数が生息している。夏は山地、冬は山麓の原野、沼地、耕作地等に生息し、飛びながら地上の餌を探す。地上、水面に餌を見つけると舞いおりて脚でつかんで飛び去る。餌とする不動物は、季節、環境、餌の量により変わるが、冬期はほとんどがノネズミの類である。夏には、カエル、 トカゲ、ヘビ、鞘翅目、直翅目の昆虫や魚も食べる。育雛期には、ウグイス、アオジ、スズメなども雛に与える。

 巣は700〜1,300m位の山地の広葉樹林、アカマツ林などの地上7〜10m以上の枝に、小枝を積上げて作る。外径70cm、内径25cm、高さ50cm、深さ10cm。前年の古巣を補修して再び使うこともある。産座には青葉を敷く。卵は帯青白色に赤褐色の粗大斑がある。56×44mm、67.5g。1腹の卵数は2〜3個。5〜7月に産卵。孵化日数は28日。巣立ち日数は40日内外。巣立後1ケ月で独立する。抱卵は主として♀が行う。

 今回の調査では、北海道、本州中部以北の14サブメッシュにおいて繁殖が確認された。これは予期されていたよりも、かなり少ない数である。また、繁殖の可能性のある地域として記録されたサブメッシュは、全国に53あった。このうち、九州では、今まで繁殖が確認されていなかったので、今後、継続調査が必要であろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

14

53

133

200

構 成 比(%)

7.0

26.5

66.5

100.0

 

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