103 ス ズ ガ モ

 全長450mmの中型の潜水ガモ。♂の冬羽では、頭から首、胸にかけて、黒色、金属光沢があり、光線によっては、濃緑黒色にも見える。背中は灰色で、脇腹から下面は白。背中の灰色と脇腹の白のコントラストは、キンクロハジロ♂冬羽ほど明瞭でない。尻と上尾筒、下尾筒ともに黒い。嘴は、明るい灰青色で、脚もほぼ同じ色。虹彩は金色。♀の冬羽は、頭、首、胸は黒褐色、下面は白で、脇腹は黄褐色、嘴は、♂よりも濃い灰青色。基部に白い部分があるが、その大きさは個体により様々であるが、目より後まで白いものはない。虹彩は金色。ユーラシア大陸から北米大陸にかけて、北緯60度以北の北極圏に近い所で繁殖し、日本近海、黒海沿岸、北海、北大西洋など、かなり北の地域で越冬する。日本に最も近い繁殖地はカムチャッカ半島およびホロムシル島であろう。我国には、冬鳥として渡来し、東京湾、三河湾、瀬戸内海、博多湾など波の静かな入江に大群をなして休息する。渡来数は多く、東京湾では10万羽以上になることもある。淡水に入ることは少ないが、海が荒れた時には、海岸近くの池に入ることもある。

 潜水によって、水底の餌を捕えることが多い。雑食性であるが、越冬地のほとんどの地域で軟体動物が優先するという。潜る深さは、7〜10mに及ぶことは稀で、多くは、0.5〜3.5mといわれている。基本的には、昼間採餌するが、市川市の新浜野鳥保護区に休む群は、日没とともに採餌に出かけ、日の出とともに帰る事を規則正しく、くり返している。

 繁殖地は極北のツンドラからタイガの北端あたりで、巣は、水辺や流れの中の、よく茂った薮に、単独で作る。巣作りは♀が行い、巣場所近くの手近な草や葉を集め窪みを作る。直径は25〜30cmで高さは17cmで内に綿毛を敷く。繁殖期は5〜7月。卵は鈍楕円形、オリーブグレー色。62×43mm、61g。一腹卵数は8〜11個。孵化日数は26〜28日。抱卵は早が行い、巣を離れる時は綿毛で覆う。雛は早成性。独立する迄の日数は40〜45日。

 本種の繁殖は、キンクロハジロに比べ、明らかに北であり、日本における確実な繁殖の報告はない。今回の調査では、繁殖期に於ける生息が兵庫県以北の8サブメッシュにおいて報告されたが、何らかの理由により越夏したか、渡り遅れた個体と見るべきであろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

0

8

8

構 成 比(%)

0.0

0.0

100.0

100.0

 

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