095 シ マ ア ジ

 全長約380mm。小型のカモ。♂の冬羽では、頭頂と後頭は黒褐色。眉斑は幅広く白い。頭側と首は、チョコレート色に小白縦斑がある。胸と背は灰色に茶褐色の斑点が密にある。脇腹から尻にかけては、淡灰色に細い縦の波状の縞紋様がある。肩羽と三列風切が長く延びて、灰色に黒く縁どりのある飾羽になる。♀は、色彩も大きさもコガモの♀に似ているが、全体に暗色味が強く、白い眉斑と嘴基部の白斑で見分けられる。羽ばたきは早く、水面からも軽々と飛立つ。飛行中に切り返したり、沈み込んだりすることはない。季節によって、生息場所を変えるが、繁殖地としては、ユーラシア大陸の北部、北緯40度以北の地域が多いが、それ以南にも散在している。カラフト及びカムチャッカ半島での繁殖が知られている。越冬のために比較的長い渡りをするものが多く、東南アジア、インド、アフリカで越冬する。このため、我国には渡りの途中に現われる事が多いが、その数は少ない。淡水の浅瀬で、草丈の低い植生が良く発達した所を好む。渡りの途中には良く海に出るので、我国では、海岸に近い、池や沼で良く見られている。雑食性であり、頭を水に入れて泳ぎながら餌をとることが多く、逆立ちはめったにしない。普通は番か小群で昼間餌を採る。

 繁殖期は、4〜6月、5月初旬に産卵するものが多いと言われている。巣場所は水に近く、草や低木の良く茂った所が選ばれる。コロニーは作らない。巣は、早が巣場所近くの草の葉を集め、体を押しつけて形作り、綿毛を敷く。直径20cm、深さ10cm以内。卵は淡黄土色又は薄い茶色で、一腹卵数は8〜9個。46×33mm、28g。産卵は毎日行なわれ、孵化日数は、21〜23日。抱卵は♀によって行なわれ、巣を離れる時は、綿毛で覆いかくす。雛は早成性。独立までの日数は35〜40日。

 従来、我国からの本種の繁殖は北海道根室で観察されており(愛知県鍋田の繁殖記録はあるが未発表である)、今回の調査でも北海道東部の2サブメッシュにおいて確認された。根室付近は、おおよそ北緯43度で、既知の繁殖地の延長上に考えることができる。他の5サブメッシュに於いても夏期生息が認められているので、今後も繁殖の記録は増えていくものと思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

0

5

7

構 成 比(%)

28.6

0.0

71.4

100.0

 

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