094 オ ナ ガ ガ モ

 全長約750mmの大型のカモ。♂の冬羽では尾が長い。頭、喉、後首は金属光沢のある濃こげ茶色。胸は白く、そこから首へ続く白い筋がある。背面は、灰色で、黒い斑点がある。三列風切が延びて、多少かざり羽のようになる。下面は純白で脇は灰色に黒の縦斑がある。嘴は黒で、周囲は鉛青色。♀も、他のカモに比べ尾が長いのが特徴であるが、背は暗灰黒色に黄褐色の斑がある。嘴は黒色である。大体において、北緯50度以北のユーラシア大陸および北米大陸北部、アリューシャン列島などで繁殖する。パラムシル島では繁殖の記録がある。近年、越冬のために、日本に渡来する個体が増加している。

 生息地は、沼地、池、湿地、草地、草原などであるが、流れの早い川は好きではない。餌は、植物質から動物質まで広い。普通は逆立して、水面下20〜30cmまでの底の泥を濾しとって食べるが時として、頭をつけて泳ぎながら餌をとったり、潜って採餌することも観察されている。番や小群で餌をとることが多く、他の淡水ガモと混群を作ることもある。夜も昼も採餌し、採餌行動のピークは、午前の遅い時間と午後の遅い時間との報告もある。餌の多くは植物質で、種子、茎、地下茎であり、エビモの類、スゲ類、タデ類、ギシギシ、アマモなどもある。動物質としては、多くは昆虫とその幼虫で、双翅目、鞘翅目が多い。他に軟体動物、魚卵、蛙、小魚なども食べる。一般的に秋から冬にかけては、植物質が優先し、春から夏にかけては、動物質が多くなるという。

 営巣場所は、地上で、丈の低い草地や薮の場合が多く、水辺から200m以内であることがほとんどであるが時として1〜2kmも離れている事もある。コロニーは作らないが、2〜3m以内に接近している場合もある。巣は、草や葉に綿毛を用いることが多いが、時として、巣材を使わなかったり、少ない事もある。巣作りは♀が行う。巣の場所から首をのばして集められる範囲から巣材を集め、体を沈みこませ窪みを作る。卵は、楕円形で、黄白色、時として黄緑色、光沢がある。55×39mm、43g(飼鳥の例)。一腹卵数は7〜9個。孵化日数は22〜24日。抱卵は♀のみが行い、しばしば♂は近くにいる。一腹の卵がそろってから抱卵する。雛は早成性。独立までの日数は、40〜45日。

 今回の調査では、宮城県北部と兵庫県で夏期の生息が認められたが、繁殖については、何ともいえない。オナガガモは、北緯50度以北で繁殖するものがほとんどであるが、ヨーロッパに於いては、もっと南の地域でも、繁殖しているので、日本でも、今後、詳細な調査が必要である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

0

4

4

構 成 比(%)

0.0

0.0

100.0

100.0

 

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