090 ヨ シ ガ モ

 全長約480mmの小形のカモ。♂の冬羽は、黒褐色の頭部に、目のまわりから後首にかけて、濃緑黒色の帯がある。6〜7cmの冠毛があるので、頭が大きく見える。首は白く、幅の広い緑黒色の首輪がある。また三列風切が細長く延びて蓑毛状になり、美しいカモである。♀は、全体褐色であるが、背中が濃く、下面は淡い。嘴は黒で、脚は黒褐色。

 東部シベリア、東北モンゴル、中国北部、アムール地方で繁殖し、冬期、中国南部、東南アジア方面に渡る。我国では、北海道で小数が繁殖するほか、大部分は、冬鳥として渡来する。

 池沼や海上に休息し、黄昏時から、水田等に飛来し、採餌する。イネ科植物等の種子を食べることが多いが、春は、内海の緑藻類なども食べる。ヨシガモは、非常に警戒心が強く、その生態については、余り知られていない。淡水の湖や川にいる事が多いが、冬は海にも出る。飛行、生息環境、その他一般的生態はオカヨシガモに似ている。

 繁殖地は、沼地や川の土手などの草むらの中の地上部に、笹、草の葉、茎などで作り、綿毛を多量に入れる。卵は56×39mm、淡褐黄色で無斑。一腹卵数は、6〜9個。抱卵期間は飼育下では、24〜25日、或は26〜27日という。繁殖期は、他のカモに較べて遅く、6〜7月。北海道釧路で7月31日に雛が採集された例もある。

 ♂の鳴声は、ヒョーイ、ヒョーイと二声鳴き、繁殖期には♂同士が♀のそばに集まって、互に細い優しい声で、連続的にピョー、ピョー、ピョー、ピョーと鳴き、嘴を上に向ける。又、コートシップの時には、冠毛を立て、太く短い声で、ウーウィと鳴く。この時♀は、ゲレゲレゲレと鳴くという。

 北海道における繁殖は、以前から知られていた。今回の調査では、確実な繁殖は報告されなかったが、十勝川流域の帯広とサロベツ原野で繁殖の可能性があると、報告されている。北海道では、上記の他に、十勝、釧路、根室地方で、夏期の生息が確認されている。これらの地域では、繁殖することが考えられるので、今後も注意深い観察が必要である。山形県および兵庫県で、繁殖期に於ける生息が記録されたが、5〜6月に小数の群が記録された事は以前にもあり、繁殖については、何とも言えないであろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

5

16

21

構 成 比(%)

0.0

23.8

76.2

100.0

 

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