087 カ ル ガ モ

 ♂♀同色のカモ。全体に黄褐色の地味な色合で、顔は、白っぽく、頭上と過眼線と、頬と頭側に黒線があり、隈取りのように見える。全長605mm。飛んだ時は、全体が黒褐色に見えるが、翼下面は、白く見える。嘴は黒で、先端のみ黄橙色。脚は橙色。

 淡水性のカモで、川、池、沼、湖などの水辺や水田、アシ原などの他、埋立地等にも数多く見られる。冬期は、大きな群をなし、安全な海上に休む事が多い。コガモと混群になる事があるが、多くはカルガモだけの群である。

 雑食性であるが、種子、葉などの植物質を多くとる。また、水生昆虫も食べる。採餌法は、水面でペチャペチャととることが多いが、逆立することもあるし、雛は良く潜って餌を探す。また、タカなどの害敵の来襲があった時には、潜って逃れる事が多い。

 繁殖地は、北海道、本州、佐渡、四国、隠岐、九州、対馬、奄美諸島、八重山諸島に及んでいる。北海道のものは、冬期、南下するが、一年中この種の見られる地方に於いても、北からの移動群が混る等、季節的移動が知られている。

 巣は、海岸近くの池畔、小池内の島、河口の三角州など、低い草むらに作る。わずかな草地でも繁殖するので、埋立地でも、良く繁殖している。オギやアシなどの間に、枯草と綿毛で巣を作る。

 繁殖は、4〜7月上旬で、多くは、5〜6月に産卵する。卵は、淡黄白色で、無斑。淡褐色や、淡い暗緑色のものもある。一腹卵数は、8〜12個。56×43mm。抱卵期は、約26日である。

 日本全国の平野部に数多く見られるカモであるが、繁殖生態のうち、社会関係など、まだ解明されていない部分も多い。今回の調査では、北海道のサロベツ原野から、沖縄、西表島まで、全国的に繁殖が確認された。特に沿岸部、平野部に多い。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

255

149

279

683

構 成 比(%)

37.3

21.8

40.8

100.0

 

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