062 ムラサキサギ

 全長785mm。暗色の大きなサギで、全体的に赤味を帯びる。アオサギに比べ一まわり小さい。細身で、とりわけ、首が長い。足指は長いが、脚は短かい。♂♀同色であるが、幼鳥は、頭部、首筋の黒色部および、背中の灰色部分を欠き、全体に赤褐色である。飛行は、アオサギに似るが、声も、アオサギに似た、グワッ又はクェーという声を出すが、大きくもないし、力強くもない。生息地は、丈の高いアシなどの茂った湿地、沼地などで、浅い流れのある淡水域に多い。又マングローブの生育する沿岸の塩水域にも見られる。魚類と昆虫(幼虫および成虫)を早朝や夕方の薄暗い時に採餌する。主として、静止した状態で待ちかまえ、折曲げた首をスッーと延ばして餌を捕える。また、時として、ノネズミなどの小動物、両生類、ヘビ、トカゲ、小鳥、甲殻類、軟体動物やクモなども食べる。

 日本に於ける、本種の確実な繁殖の記載はない。営巣場所は、開放水面から、30m以内のアシの密な場所に♂が選び、50m〜1m位の枯アシを積上げるのが普通であるが、地上25m以上の木の上に巣を架けた例もある。普通は、巣と巣が接近し、コロニ−を形成するが、単独で営巣する時もあるし、他のサギ類のコロニーの中に巣を作ることもある。古い巣は、二度と利用されない。巣は、直径50〜70cm、高さ20〜25cm。産座は浅く10〜15cmの深さ。巣の他に、枯アシの浮台が作られ、巣に入らない親の休息と、雛の休息と給餌のために利用される。巣作り、浮台作りは7〜12日かかり、♂♀とも、これを行う。卵は、鈍い楕円形。淡青緑色。しばしば、抱卵中に、白斑が広がる。57×41mm、50gが平均値。一腹卵数は4〜5個。産卵は、2〜3日ごとに行なわれ、平均26日で孵化する。抱卵は、♂♀とも行うが、♀が多い。抱卵は、初卵の日から行なわれ、孵化は、同時ではない。卵殻は巣の横に棄てられる。雛は、♂♀の親から給餌され、8〜10日で巣を離れ、アシを登ることができる。餌は浮台におかれることもあるし、雛の嘴に直接入れることもある。45〜50日間給餌され、55〜65日で独立する。

 今回の調査では、沖縄県の先島諸島で生息が記録された。いずれも、Cランクであるが、西表島での繁殖の記録もあるので、先島諸島における繁殖の可能性が、今後の調査に期待される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

0

4

4

構 成 比(%)

0.0

0.0

100.0

100.0

 

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