057 チ ュ ウ サ ギ

 全長685mm。翼開長1,145mm。全身白色で脚のみ黒いサギ。生殖羽では嘴が黒く、眼先は黄色い。また、胸と背に長い飾り羽を生じ、これを広げてディスプレイを行う。冬羽では嘴は黄色い。主に海岸近くや平地の水田、沼沢、入江、干潟などに降りて、数羽またに10羽程度の小群で餌をあさることが多い。昼行性で、脚を交互に出して水中を静かに歩渉しながら餌を探し、時には魚を狙って水中に不動の姿勢で立っていることもある。餌は昆虫類、クモ類、魚類(ドジョウ、フナ)、甲殻類(アメリカザリガニ)、両生類(カエル)など。休息時には頸をS字形に縮め、片脚で立っていることが多い。ゆっくりした羽ばたきで飛翔し、首を胸元へ縮め、脚は後ろに延ばして飛ぶ。竹薮、マツ林、雑木林を集団で塒、または繁殖地とする。コサギ、ゴイサギ等と混群で営巣することが多い。巣は樹木の中程の枝上にある場合が多く、いくつも隣り合い、また、他種のサギの巣と隣り合っている場合もある。樹枝を主材とし、草の茎などを使用して皿型の巣をつくる。産卵期は4月下旬から8月上旬頃までである。1巣の卵数は3〜5個。

 北海道、本州、佐渡、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、神津島、三宅島、八丈島、鳥島)、小笠原群島(父島)、硫黄列島(北硫黄島、硫黄島)、沖縄本島、南部琉球(石垣島、西表島、与那国島)、大東群島(南大東島)に分布し、本州、四国、九州には夏鳥として渡来し、繁殖する。本州の場合は春の4月下旬〜5月中旬に渡来し、9月下旬頃から渡去しはじめる。

 今回の調査では本州と九州で繁殖が確認された。関東平野、濃尾平野、瀬戸内地方、北陸地方の日本海沿岸に多く繁殖するが、混生してコロニーをつくるシラサギ類3種(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)の中では、繁殖域はコサギより狭く、ダイサギより広い。また、今までシラサギ類の繁殖地の北限は宮城県桃生郡河北町であったが、今調査では山形県でも繁殖が確認され、新しい北限となった。

 なお、日本のシラサギ類のコロニーとしては、埼玉県北足立郡野田(1923年に天然記念物指定)千葉県千葉郡蘇我大厳寺、大阪府三島郡摂津の継体天皇御陵、大阪府堺市の大仙陵、兵庫県姫路市網干区などの記録がある(清棲 1952)が、急激な都市開発等により、採餌地の水田や、繁殖地の林、竹薮が消え去り、多くのコロニーが崩壊したり、分散したりしている。例えば天然記念物の野田の鷺山では、1972年以後全く繁殖が行われていない。今後の調査によってシラサギ類をはじめとする日本のサギ類の繁殖状態が更に明らかにされることが望まれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

51

4

50

105

構 成 比(%)

48.6

3.8

47.6

100.0

 

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