056 ダ イ サ ギ

 全長890mm。全身白色の大きなサギ。脚が長く首も長い嘴の黄色い背の高い鳥。繁殖期には嘴は黒、目先は緑色になり、背中と胸に蓑状の飾り羽を生ずる。海浜、干潟、水田、沼沢、アシ原、河川などを採餌地とし、マツ林や落葉広葉樹林を塒や繁殖地とする。見とおしのよい水田や沼沢で採餌し、アシの茂みに潜むことは稀である。単独で行動することが多い。餌は魚類が主で、両生類無尾目(カエル、オタマジャクシ)、甲殻類(ザリガニ、エビ)、哺乳類の超歯目(ノネズミ)なども捕食する。地上生活が主であるが、繁殖期や塒には樹上を利用する。翼を緩慢にはばたいて飛翔し、滑翔することもある。飛翔時には頸をS字形に縮め、脚は尾の先から長く出ている。繁殖期には背中と胸の飾り羽を広げてディスプレイを行う。繁殖は平地にある雑木林で集団で行い、ゴイサギやチュウサギ、コサギと混生して営巣することが多い。巣はマツ、スギ等の地上から6〜20m位の高さの枝に2〜3巣が隣り合い、他種と混群で営巣する場合には最上層の樹上付近を選ぶことが多い。樹の枝で皿型の巣を作り、産卵期は4月下旬から6月下旬頃、1巣の卵数は2〜4個である。

 分布は北海道、本州、佐渡、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、神津、三宅、八丈、鳥島)、小笠原群島(父島)、硫黄列島(北硫黄島、硫黄島)、沖縄本島、南部琉球(石垣、西表、与那国島)、大東群島(南大東島)で、九州以北には夏鳥として渡来するものが多く、本州には4月中旬頃姿を見せ、9月下旬に渡去する。一部は冬期も残留する。

 今回の調査では日本で繁殖するシラサギ類3種(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)中、分布域が最も狭かった。関東平野、濃尾平野、瀬戸内地方など、サギ類のコロニーが多い地方ではふつうに繁殖しているようであるが、九州南部や、東北以北では繁殖例がなかった。また日本海側でも石川県と鳥取県の二例のみである。コサギやチュウサギが九州南部や東北地方、日本海沿岸のコロニーでも繁殖していることを考えると、ダイサギの繁殖域はかなり狭いようである。加えて、ダイサギは、各コロニーの構成種中で多数を占めることは決してなく、例えば、埼玉県浦和市のコロニーでは全体の0.6%、三重県鈴鹿市では2%、山口県宇部市でも10%程度であるところから(環境庁 1977)、日本に渡来する総数もコサギ等と比べると多くないと思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

28

2

34

64

構 成 比(%)

43.8

3.1

53.1

100.0

 

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