055 ア マ サ ギ

 全長505mm。翼開長895mm。生殖羽は頭頸部および胸、背が鮮やかな橙黄色で、他の部分は白色。胸と頭に飾羽が出る。脚は褐色味のある黒色、嘴は黄色で、他種のサギより短い。非生殖羽では体の橙黄色を欠く。単独、または♂♀で生活することが多く、時には小群をつくることもある。昼行性で、水田や草原などで、両足を交互に出して歩きながら餌をあさっている姿をよく見かける。食性は、他種のサギ類が魚類を多く捕食するのと異り、クモ類、昆虫類(バッタ、コオロギ、ケラ、ヤゴ、ゲンゴロウ等)が主で、他に両生類、魚類、甲殻類も餌とする。食性の違いにより、他種のサギよりも乾燥した場所を好む傾向がある。樹上や地上では頸をS字形に縮めていることが多い。翼をゆっくり羽ばたいて直線的に飛び、ときには滑翔することもある。チュウサギ、コサギ、アオサギ等と混生して集団繁殖することが多く、雑木林、マツ林、竹薮等に営巣する。巣は地上から2〜10mくらいの高さの枝上にあり、樹枝を主材として皿型の巣を作る。産卵期は5月中旬から7月上旬頃までで、1巣の卵数は3〜4個である。

 我国には夏鳥として3月下旬頃渡来し、9月下旬頃渡去する。南日本では越冬するものもある。従来知られている分布は北海道、本州、隠岐、四国、九州、対馬、男女群島、屋久島、伊豆諸島(大島、八丈島、鳥島)、小笠原諸島、硫黄列島(北硫黄島)、北部琉球(奄美大島)、中部琉球(沖縄本島、久米島)、南部琉球(宮古、石垣、西表、鳩間、与那国島)、大東諸島(南大東島)。アマサギはかつては本州中部以南に多数生息し、それより北の地方では珍しい鳥であったが、近年生息域を北へ拡げつつある傾向がある。

 今回の調査では、本州、四国、九州で繁殖が記録された。本州では宮城県を北限とし、関東平野、濃美平野、中国、四国、九州地方の主に瀬戸内側の他、日本海沿岸や九州南部のコロニーで繁殖が確認された。また、繁殖は本州以南とされている。今回は一例ながら北海道からの報告があったが、今後の精査を必要とする。アマサギはサギ類の混生コロニーの中で数量的には占める割合があまり多くないが、分布域は広く、本州北部の宮城、福島、新潟各県でも一例ずつ繁殖が確認され、東北以北にも着々と生息域を拡げているものと思われる。例えば、宮城県桃生郡河北町のサギのコロニーでは、1973年に初めてアマサギが観察され、1976年の調査当時にも1羽が確認されている(環境庁 1977)。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

53

8

66

127

構 成 比(%)

41.7

6.3

52.0

100.0

 

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