049 ミ ゾ ゴ イ

 全長490mm。頭は濃栗褐色で背面はいくらか暗色、頭側はかなり赤っぽい褐色である。嘴は頭の大きさの割には小さめで上嘴は黒く下嘴は黄色。下面は淡色で縦斑がある。夏鳥として渡来し、山地のスギ、ヒノキ等の針葉樹の密林やクリ、ナラ等の落葉広葉樹の密林に生息する。他のサギ類が明るい広い場所を好むのに対し、薄暗い林中に好んで生活する。単独または♂♀で生活し、森林中の薄暗い沢や渓流などに降りて餌をあさる。スギ、ヒノキ等の枝に止まってじっと眠っていることもある。両脚を交互にして地上を静かに歩くことが多いが、走り出すと速い。夜間には林から舞い出して遠方まで採餌に出かける。サワガニ等を主食とするがミミズや魚類、水生昆虫も捕食する。警戒時には頸と頭を真直ぐ空の方にのばし、体を縦長にして静止する擬態を行う。針葉樹、常緑、落葉広葉樹の森林中に営巣する。巣は地上から7〜20m位の高さの枝上にあり、巣の下には下枝を欠き、巣は主幹から1、2m離れた位置にあることが多い。巣は樹枝や樹根を利用して作り1巣の卵数は3個。産卵期は5〜7月である。4月下旬から5月下旬頃の夜間に、ウォーフ、ウォーフと、うなるような声で4〜8声ずつに区切って連続的に鳴く。

 分布は、北海道、本州、四国、九州、佐渡、対馬、屋久島、種子島、伊豆諸島、硫黄列島、北部琉球(奄美大島、喜界ケ島)、沖縄本島、石垣島にわたるが、繁殖が確認されているのは本州、四国、九州、伊豆諸島である。本州には4月上旬頃渡来し、秋の10月下旬頃までとどまる。薩南諸島以南は、冬期の記録が多い。また、北海道では、松前小島のみで生息が確認されている。

 今回の調査では、関東から東海、近畿地方にかけて繁殖記録が集中した。かなり海岸沿いから、内陸部までで繁殖するようであるが、あまり高い山には生息していない。暗い林中に営巣し、繁殖の確認が困難なため、決定的な繁殖記録が非常に少く、この点では今後の調査に多いに期待したい。東北以北や、中国地方では繁殖が確認されず、九州、四国でも繁殖例は各一例のみであり、ミゾゴイの生息に適した低山帯の深い森林の開発に伴って、生息地も減少している可能性があり、更に調査が継続されることが望まれる。また、佐渡では、現在までのところ確実な繁殖の記録はないので、もし、繁殖が確認されれば貴重な記録となろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

13

27

7

47

構 成 比(%)

27.7

57.4

14.9

100.0

 

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