039 カ  ワ  ウ

 全長815mm。体、首、嘴とも長く全身黒色で、顔は黄色く、その外側は白。成鳥では頭部に白い羽が混じり、また、繁殖期には腰の内側に白斑ができる。海湾、湖沼などに群れて生活し、巧みに泳ぎ、潜水して採餌する。主に魚類を餌とする。水上では深く身体を沈め、首のみ長く水面からつき出した感じがする。水上で短い距離を飛ぶ時は低空を飛翔するが、高空を群飛する時には縦列になる。湖岸の岩礁上や湖中の小島、川岸の喬木等に集団で休息するが、休み場所は一定し、このような枝や岩は糞で真白になっている。地上や樹上では体を直立させ、時折両翼を広げて乾かしている姿を見かけることがある。集団で繁殖し、コサギ、ゴイサギ等と混生して繁殖することもある。巣は地上から5〜25mくらいの高さの枝上にあり、枯草や海藻等を主材として皿型の巣を作る。前年の古巣を修理して、そのまま使用することもある。産卵期は12月〜翌6月頃までで、年2、3回繁殖する。1巣の卵数は3〜6個である。♂♀共に抱卵し、雛は25〜28日で孵化する。育雛も♂♀共に行うが、雛は親鳥の喉の中に頭部を差し入れて親鳥のソノウ中から半消化した餌を食べる。

 我が国には留鳥として周年生息し、秋冬は繁殖地近くの海湾や湖沼に生息するが、本州北部の青森県等では夏鳥で、2月中旬頃渡来し、9月末頃までとどまる。北海道、本州、四国、九州、対馬、伊豆諸島、小笠原群島(聟島)、先島諸島(宮古、西表、与那国)、大東群島(南大東島)に分布する。今回の調査で繁殖が確認されたのは、青森県尻屋崎、愛知県知多半島、三重県伊勢市五ケ所浦の三ケ所である。カワウはかつては本州各地で繁殖していたが、現在急激に繁殖地が減りつつある鳥の一種で、<ウの森>として天然記念物に指定されている千葉県蘇我町大厳寺や、青森県南津軽郡猿賀神社では現在は全く繁殖が行われていない。周辺の環境の悪化によるものが多いが、繁殖地が民有地だったため追い払われてしまった例としては、三重県宮川中流にある人工湖頭首湖のものがある(橋本 1973)。現在最も大きな繁殖地は前述の知多半島のもので、毎年1〜8月にかけて400巣、約1,500羽が営巣する(愛知県 1973)。また、東京都上野の不忍池でも約1,000羽が生息し、新たに島内に人工木を造成し営巣場所を増やしたため数が増えつつある。その他に今回未調査の場所としては、青森県上北郡市柳沼でも新たに繁殖が確認された。また、最近まで本州以外での繁殖記録には確実なものがなかったが、大分県の沖黒島でも繁殖地が発見された(武石干雄 1979)ところから今後の調査によっては新しい繁殖地が明らかになることも期待される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

3

0

3

6

構 成 比(%)

50.0

0.0

50.0

100.0

 

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