029 ヒメクロウミツバメ

 全長190mm。全身黒褐色、嘴、脚は黒色で、翼上面の次列雨覆羽に淡色斑がある。昼間は大洋に生息し、海面近くを、コウモリに似た飛び方で脚を下げて飛びはねるような形で飛翔することが多い。飛翔時の動作や海面を泳ぐ様子はコシジロウミツバメと酷似する。食性は動物質で主として魚類を捕食する。地上では動作が鈍く、這うようにして歩く。大洋に面した島嶼に集団で繁殖する。巣は島の岩のすき間を利用したり、土中に穴を掘ったり、オオミズナギドリの古巣を利用したりする。自分で穴を掘る時には、土中に、直径10cm、深さ20〜60cm程の穴を掘る。巣穴は地中にある岩のために曲折するものが多い。巣は巣穴の最奥部にあり、産座には落葉広葉樹の葉や枯れ草などを敷く。産卵期は7〜8月で、1巣の卵数は1卵である。♂♀共に抱卵し、雛は41日位で孵化する。親鳥は繁殖地の島には日没後に帰来し、朝は午前2時過ぎから沖に飛ぴ去ってゆく。抱卵中の親鳥を巣から引き出すと、口中から悪臭のある燈紅色の液を吐き出す。

 我が国には夏鳥として飛来し、本州各地の沿岸から、四国、九州、伊豆諸島、琉球諸島で見られる。数ケ所の繁殖地が知られているが、最も有名な繁殖地は岩手県三貫島で、ヒメクロウミツバメの繁殖地として天然記念物に指定されている。同島では春の5月下旬頃に渡来し、10月上旬に渡去する。ウミツバメ類の生息繁殖状況は未だ不明な点も多いが、三貫島では全部で数十〜数百羽がオオミズナギドリの古巣を利用して営巣すると見られる。今回の調査では、石川県七ツ島大島と、福岡県沖島で繁殖が確認された。その他、青森県尻屋崎、京都府沓島、島根県隠岐で繁殖の記録があるが、今後の調査網の整備によって新しい繁殖地の発見も期待できるであろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

0

0

2

構 成 比(%)

100.0

0.0

0.0

100.0

 

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