028 コシジロウミツバメ

 全長205mm。体全体が黒褐色で、嘴、脚も黒く腰だけが白い。昼間は大洋に生活し、海上を、翼をひらひらさせながら直線的に飛翔する様子はコウモリの飛翔に似ている。しばしば海面に降り立ち、よく泳ぐが、この時は翼を上方に上げている。飛びながら両脚を下げ、海面を蹴るような動作をすることもある。地上では胸を地につけて、不格好な形で這うようにして歩く。大洋に面した島嶼や孤島等に集団で繁殖する。巣は島の岩陰の深い奥を利用したり、荒れ地、草原、森林、灌木などの密生する地上に、♂が嘴で穴を掘って脚で土をかき出し、1ケ月近くかかって巣としたりする。巣穴はふつう地表から15cm以上の深さにあり、上下左右にジグザグを成すことが多い。巣は1m四方に平均3巣ほどで、産座に小石、草葉、毛、羽毛、紙などを敷くものと、土に直接産卵するものとがある。産卵期間は6月上旬から7月で、1巣の卵数は1個である。♂♀共に抱卵し、昼間は早が引き続いて抱卵し、夜間は♂と交代する。抱卵中は片親だけが巣内にとどまり、他の親は、洋上に出ている。雛は抱卵後42日位で孵化し、孵化後80日程で巣立する。繁殖期間中は、夜間巣穴の中や上空でピーウィーとやかましく鳴き、夜中絶えず鳴きかわしている。食性は動物質で魚類を主食とする。

 我が国には夏鳥として渡来し、繁殖地の島嶼には4月下旬頃に姿を見せ、10月上旬には渡去し始める。繁殖地としては北海道の大黒島が有名で、1973年の調査では、その数約200万羽で、同島の無人化に伴い営巣地は全島に広がっている(環境庁 1973)。今まで、コシジロウミツバメについては大黒島が日本で唯一の繁殖地とされてきたが、今回の調査では、岩手県宮古市の小島で繁殖が確認された。また、北海道の根室半島友知岬、及び霧多布の小島でも生息が確認され、繁殖の可能性がある。岩手県釜石市の三貫島でも、未確認ながらコシジロウミツバメが繁殖期間中に観察されている(環境庁 1973)ので、今後の調査に期待したい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

2

0

3

構 成 比(%)

33.3

66.7

0.0

100.0

 

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