008 アカエリカイツブリ

 全長470mm。大型のカイツブリで、冬羽では全身暗褐色で下面は淡く、夏羽では頬、喉にかけての顔が灰色で頭は黒く、首全体が目立つ赤褐色になる。首が長く見え、頭が三角形で嘴がとがっている。巧みに潜水して餌を取る。食性は動物質で、魚類の他、カエルや、ゲンゴロウ等の水生昆虫を好む。水中に17〜35秒くらい潜るのは普通である。危険時には飛翔して逃げるよりも、潜水して遠くに逃れる場合が多い。水上では体を深く水中に沈めている。飛翔時には首を水平に伸ばし、脚を後方に引いて直線的に飛ぶ。北海道以北の平地及び山地の湖沼で繁殖し、冬期は本州に飛来するものが多い。夏期は湖沼や湿地のマコモ、イ等が密生する水辺に♂♀で生活するが、冬期は単独、または♂♀で常に海上や海湾に生活し、陸地内の河川や湖沼には飛来しない。巣は60cmくらいの浅瀬に作り、水面から20cmくらいの高さで、イ、スゲ等の葉や茎、藻類等を使用する。皿型で外形は70〜90cmくらい。産卵期は6月〜8月上旬までで、1巣の卵数は3〜6個である。♂♀共に抱卵し、巣を離れる時には卵を水草で覆ってゆく。孵化日数は21日くらいである。

 現在までのところ繁殖が確認されているのは北海道のみで、本州以南には冬鳥として、秋の11月下旬から12月上旬頃飛来し、翌春の4月下旬までとどまる。本州、佐渡、四国、九州、隠岐、対馬で越冬の記録がある。道内では、平地から標高400〜500mくらいの山地の湖沼、湿地で見られ、阿寒湖でも観察例がある(清棲 1978)。

 今回繁殖が確認されたのは、道中央部及び道北部で、特に道北部に集中している。道東部でも生息が確認され、繁殖の可能性が高い。北海道の北部から東部にかけては、アカエリカイツブリの繁殖に適当と思われる湿地や湖沼が多く残されているので、今後の調査によって、繁殖記録は増えてゆくものと思われる。また、道南部ではウトナイ湖で観察されているが、今回の調査では生息の確認が得られなかった。北海道南部以南は、気候的にアカエリカイツブリの生息に不適当であるのか、開発による湖沼の埋立等人為的な影響によるものなのか、今後の調査によって解明され、アカエリカイツブリの繁殖地に適切な保護が成されることを期待したい。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

6

3

5

14

構 成 比(%)

42.9

21.4

35.7

100.0

 

繁殖分布地図索引へ