データ処理および繁殖分布図作成

 1978年度調査の最終結果は、翌年度に総て磁気テープ化され、電算機により繁殖分布図の作成および調査結果の単純集計が行なわれた。この間の作業フローは図3に示されている。

 磁気テープ化にあたって、繁殖データは次のように処理された。

1.同じ区画内の同一種に対して異なる繁殖可能性ランクを得た場合には、現地調査または資料調査のいずれかの記録を一律に優先させることを避け、常にランクの最も高い繁殖情報をもってその区画を代表させるものとみなし、コーディングを行った。

2.繁殖分布図は、都道府県境を考慮にいれずに区画(メッシュ)を基準にしている。しかし、県および地方別に集計して調査結果が出るよう、得られた繁殖データと県コードとのつきあわせを行った。その際、サブメッシュが都道府県境にまたがる場合には、またがった各県にそれぞれ同一の繁殖データを与える結果となった。サブメッシュ数の全国合計が、実際に調査を行った数より大きい値となっているのは、そのためである。

3.繁殖可能性の同一ランク内に列記された2つ以上の観察コードは、常に最も小さいコード番号(つまり、ランクの最も高い方)のみを選んでコーディングした。

4.繁殖可能性の区分は、AよりFまで6ランクに分かれ、各種ともこのランクのうちのいずれかが繁殖状況票に記入された。コーディングは、その原票の通りにAよりEランクまで行なわれた(コーディングされないデータは総てFランクである)。繁殖分布図作成にあたっては、分布図が視覚上読み取り易い必要のある点をも配慮し繁殖の確かさの点で上位3ランク(A〜Cランク)を採用した。繁殖に関して積極的な判断材料のない下位3ランク(D〜Fランク)の結果が分布図から省かれた理由として、Dランクは繁殖の可能性がおそらくないとの判定結果であり、EおよびFランクは生息の確認ができない種類で客観的観察事項にもとづかない判定結果であることなどによる。

5.調査は2万5千分の1図を4分割したサブノッシュを単位として実施された。しかし、資料調査の結果を加えても全国をサブメッシュの単位でもれなく埋めることは不可能であった。さらに、調査結果の得られた2万5千分の1図を単位に分布図を作製すると、ある空白の区画は、調査されない為に繁殖可能性ランクの表示がないのか、調査はされたが上位3ランクの結果が得られなかったので何の表示もないのかの区別がつかなくなる。そこで、分布地図化に際しての区画単位としては、どの区画をとっても現地調査が少くとも必ず2カ所は含まれる5万分の1図を採用した。その際に、5万分の1図内の同一種について異った繁殖可能性ランクの得られた場合には、ランクの最も高いものを選んでその区画を代表させるようプログラムされた。

6.稀少種に関しては、20万分の1図を分布図の区画単位とした。その際、ランクは区画内の5万分の1図(計16図)のそれぞれの結果を区画の中央に集めて表示した。

 

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