ミズナギドリ目 アホウドリ科 絶滅危惧IB類(EN)

和名 コアホウドリ  
学名 Diomedea immutabilis
原記載
英名 Laysan albatross
固有性



摘要

本種は北半球で繁殖する3種のアホウドリ類の中でもっとも数が多く、約558,000羽が生息している。そのほとんどがハワイ諸島の島々で繁殖し、我が国では小笠原諸島聟島列島にある聟島属島の鳥島で少数が繁殖している。かつては伊豆諸島鳥島でも50羽程が繁殖していた。近年、聟島本島や伊豆諸島鳥島に飛来する個体が見られるようになった。

非繁殖期には、本州中部から北海道にかけての太平洋上で比較的普通に見られるほか、千島列島、アリューシャン列島付近、ベーリング海、北アメリカの太平洋沿岸にかけて広く分布する。


形態

全長約80cm、翼開長200cm。雌雄同色。成鳥では頭部から頸、胸、下面、腰が白く、背、翼上面、尾が暗褐色である。目の周りは暗色で特徴的、嘴と脚はピンク色である。年齢による羽色の変化はほとんどなくい。雛は暗褐色で先端のみ白っぽい綿羽に覆われているが、巣立の頃には成鳥と同じ羽色になる。


分布の概要

繁殖地はほとんどハワイ諸島の島々に集中するが、クラリオン島(メキシコ沿岸のレビヤ・ヒヘド諸島)と、聟島属島の鳥島(小笠原諸島聟島列島)で少数が繁殖している。洋上での分布は、ハワイ諸島から本州東岸、千島列島沿い、アリューシャン列島中部にかけての北太平洋西部を中心に、北アメリカの太平洋沿岸からベーリング海、オホーツク海に及ぶ。


生物学的特性

周年を通じて海洋で生活し、求愛ディスプレイ、交尾、抱卵、育雛などの繁殖活動のみ陸上で行う。海洋島の裸地あるいは丈の低い草の生えた場所に集団で営巣する。

毎年10月に繁殖地に戻り、小石や砂、草などを集めて深い皿状の巣を作り、薄汚白色の卵を1個産む。巣は毎年ほぼ同じ場所に作る。抱卵は雌雄とも行い、約65日で孵化する。親は各種のイカ、魚、魚卵、オキアミなどの甲殻類を捕食し、半消化の状態で雛に給餌する。

つがい関係は一夫一妻で、基本的には生涯継続する。寿命は長く、足環標識によれば、42年生きた記録がある。


分布域とその動向

我が国の繁殖地は小笠原諸島聟島列島聟島属島の鳥島のみである。近年、聟島本島で繁殖を試みる個体が現れ、また伊豆諸島鳥島にも1〜2羽が飛来するようになったが、繁殖は確認されていない。

繁殖期分布情報:第2回自然環境保全基礎調査では非調査対象種

越冬期分布情報:2次メッシュ数:1、3次メッシュ数:1(第3回自然環境保全基礎調査)


個体数とその動向

現在、小笠原諸島聟島列島聟島属島の鳥島では20〜30つがいが繁殖しており、少しずつ増加してきた。


生息地の現況とその動向

営巣地の環境はほぼ安定していると考えられる。


存続を脅かしている原因とその時代的変化

繁殖地は無人島のため、生息に影響を与える深刻な問題はないと考えられる。しかし、餌場である海上では、はえ縄漁などによって混獲されている可能性がある。


特記事項

ハワイ諸島で標識された鳥が、伊豆諸島や本州の関東以北、北海道の太平洋沿岸で多数確認されている。この内、伊豆諸島周辺は繁殖期の12〜3月、本州以北は非繁殖期の5〜10月の記録である。

現在の繁殖地である聟島列島聟島属島の鳥島の自然環境を維持するために、釣り人などの進入による繁殖活動の妨害がおきないように努め、繁殖個体群のモニタリング調査を続ける必要がある。


保護対策

1980年には、コアホウドリの生息地を含め、小笠原諸島に国設小笠原諸島鳥獣保護区(5,899ha、うち特別保護地区1,331ha)が設定された。


参考文献
1. del Hoyo, J., Elliott, A. and Sargatal, J. (eds.), 1992. Handbook of the Birds of the World Vol. 1, Lynx Edicions. Barcelona. 696pp.
2. Tickell, W. L. N., 2000. Albatrosses. Pica Press, East Sussex. pp. 194-232.
3. Welty, J. C., 1982. The Life of Birds, Third Edition. Saunders College Publishing, Philadelphia. 425pp.
4. 山階鳥類研究所,1985.コアホウドリ.日本の鳥類標識調査,pp. 72-73.環境庁.

Diomedea immutabilis is a large pelagic sea bird that lives on squid and fish. It lays a single egg in the same nest site each year. It breeds mostly in the Hawaiian Islands, with a known population of 558,000 individuals. In Japan, 20 to 30 pairs of this species currently breed only on Torishima Island, in the Mukojima Island chain of the Bonin Islands. Formerly, in the 1930s, a colony of about 50 birds bred on Torishima in the Izu Islands, where non-breeding birds have been occasionally observed recently. Accidental entanglement in long lines and gill nets in the ocean is a probable threat.

百瀬邦和(山階鳥類研究所)


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