チドリ目 セイタカシギ科 絶滅危惧IB類(EN)

和名 セイタカシギ  
学名 Himantopus himantopus himantopus
原記載
英名 【Black-winged stilt】
固有性



摘要

日本では、1960年頃まではきわめてまれな鳥であったが、その後は徐々に記録が増え、越冬の記録も報告された。1978年には千葉県で巣卵が発見された。以来、東京都、千葉県の東京湾沿岸地域では毎年のように繁殖している。現在では、ほとんどの都道府県で渡来記録がある。


形態

全長37cm。体の上面は緑色光沢のある黒色で、下面は白色。嘴は細くて真っ直ぐ。脚がきわめて長く、桃赤色をしている。種としての分布は広範なため、亜種も多く知られている。しかし、腹が白く背と翼上面が黒緑色の点は共通する。頭部や頸部の黒色模様は様々である。


分布の概要

種としては、ユーラシア大陸の南部、アフリカ、北米、南米、オーストラリアなどの熱帯・温帯南部に広く分布している。本亜種は、アフリカ、マダガスカルに分布するほか、インド以東の熱帯、温帯のアジアに分布する。日本では渡来数、繁殖数とも増えている。


生物学的特性

湖沼畔、湿地、水田、海岸の河口部などに生息する。静かな水面に入って採餌する。餌を摘み取る方法や、嘴を横に引きずるようにして泥の中の小動物を捕らえる方法でとる。繁殖はゆるいコロニーを作り、90×40m、15×15m程度の縄張りを持つ。孵化後も雛は縄張り内で過ごしているが、具合が悪くなるとほかへ出て縄張りを持つ。しばしば育雛時はオスが面倒をみている。オスのフライトディスプレイは、5〜10mの高さでホバリングをしては下降し、また元の高さにもどり、ゆっくりした飛行をくり返して行う。


分布域とその動向

北海道から沖縄までの日本全域で記録されており、千葉県、東京都、愛知県では繁殖例がある。東京湾沿岸地域では繁殖地が増加中である。

繁殖期分布情報:サブメッシュ数:0(第2回自然環境保全基礎調査)

越冬期分布情報:2次メッシュ数:10、3次メッシュ数:17(第3回自然環境保全基礎調査)


個体数とその動向

1960年頃まではきわめてまれな鳥であったが、1971年には千葉県行徳に40羽もの群れが見られている。1975年に愛知県の干拓地で日本で最初の繁殖が確認された。その後、1978年に千葉県で巣卵が発見されて以来、東京都、千葉県の東京湾沿岸地域では毎年のように繁殖している。


生息地の現況とその動向

渡来記録は北海道から沖縄まで全国にわたる。前項は東京湾の例であるが、全国での動向もこれに類似している。現在は、九州、沖縄で越冬するものも少なくない。


存続を脅かしている原因とその時代的変化

生息環境である湖沼畔、湿地での埋立等による環境改変が影響を及ぼしていると思われる。繁殖地はゆるいコロニー性のため、カラス類による圧力を受けやすい。


特記事項

東京湾岸では繁殖しているが、他の地域では愛知県での繁殖例があるのみ。


保護対策

とくになし。


参考文献
1. Hayman, P., Marchant, J. and Prater, T., 1986. Shorebirds. Croom Helm, London. 412pp.
2. 環境庁,1991.日本の絶滅のおそれのある野生生物(脊椎動物編).自然環境研究センター,東京.331pp.
3. Kitagawa T., 1988. Ethosocialogical studies of the Black-winged Stilt Himantopus himantopus himantopus Jap. J. Ornth., 37: 45-62.
4. 中村登流・中村雅彦,1995.原色日本鳥類生態図鑑(水鳥編).保育社,大阪.208pp.

Himantopus himantopus himantopus is a medium-sized shorebird with unusually long legs and a thin strait bill. It used to be uncommon in Japan until the 1960s. It feeds on small invertebrates on saline mudflats. It was first recorded as breeding in Aichi Prefecture in 1975, then in 1978 a second nest was discovered in Chiba Prefecture. It has bred annually in the Tokyo Bay area since then. Now its occurrence has increased and it is observed annually at a wide range of localities from Hokkaido to Okinawa and the Yaeyama Islands.

柳澤紀夫(日本鳥類保護連盟)


All Rights Reserved, Copyright Environment Agency of Japan.