
| 和名 | :ギバチ |
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| 学名 | :Pseudobagrus tokiensis | |
| 原記載 | :Steindachner, F. and L. Doderlein. Denkschr. Akad. Wiss. Wien, 53(1): 288 | |
| 英名 | :Cut-tailed bullhead, Cut-tailed bagrid catfish | |
| 固有性 | :日本固有種 |
関東・東北地方のみに分布する日本固有種。かつては九州産のPseudobagrus aurantiacusと同種と考えられ、P. tokiensisはP. aurantiacusのシノニムとされていたが、形態、染色体数、酵素多型などに違いがあり、分布も連続していないことからから、本種と九州産の種とは別種であることが指摘されていた。Watanabe & Maeda(1995)の再記載によって、現在では九州産の種はアリアケギバチ(P. aurantiacus)とされ、本種は別種であることが確認されている。
細長い体に鱗はなく、上顎が下顎より突出する。ヒゲは上顎に2対、下顎に2対、計8本ある。尾鰭の後縁はわずかにくぼむ。成魚の体色は黒褐色から茶褐色まで見られるが、幼魚では黄色みを帯びた顕著な斑紋が見られる。アリアケギバチとは背鰭の棘が背鰭基底長の1.3倍以下で比較的短いこと(アリアケギバチでは1.4倍以上)、染色体数が2n=56(アリアケギバチでは2n=48)であることから区別される。
関東地方と東北地方のみに分布する。
流れのある比較的水のきれいな河川の中流から上流下部域に生息する。岩や石の下、石垣の間隙、ヨシの間や倒木の下に潜み、夜間に活動して水生昆虫などを捕食する。幼魚は農業用水の水路を生息場所として利用していることもある。水質の汚濁に弱いと言われている。産卵期は6〜8月。
関東地方での個体数、生息地は近年著しく減少しつつある。分布の南限にあたる神奈川県では鶴見川や多摩川の県内流域で近年見られなくなっており、きわめて危急な状態にある。福島県での採集記録もない。宮城県では近年採集の記録はあるもののきわめて少ない。また、埼玉県や群馬県の水産試験場の調査でも同様に採集地点、採集個体数ともに少なくなっている。千葉県では分布域が狭くなると同時に分断化されつつある。
分布情報:2次メッシュ数:147、3次メッシュ数:268(生物多様性調査動物分布調査)
栃木県那珂川水系の農業用水路に遡上する魚類調査では、遡上魚17種の遡上個体数のうちの約18%をギバチが占めており、季節的、時間的に優占種となる場合があったり、千葉市の一部のように釣りの対象魚となっており、近年増加しているという所もある。しかし、ほとんどの生息地で採集地点、採集個体数の減少が認められる。
多摩川のように近年水質の改善が見られる河川もあるが、神奈川県や千葉県、埼玉県など関東地方の河川では、人口の集中にともなって工業排水、家庭排水による深刻な汚染が進んできた。農業用水路では農業排水による汚染も考えられる。水質の悪化による直接的影響のみならず、餌となる水生昆虫の減少の影響も大きい。河川改修によるコンクリート護岸や堰の建設、河床の改変も著しい。
神奈川県や千葉県では都市の拡大とともに生活排水による水質汚濁と農薬(31,32)などによる直接的影響とともに、餌となる水生昆虫の減少が考えられる。河川改修(13)による礫底や石垣の破壊、ヨシなどの挺水植物の茂る岸辺の消失によって生じる稚魚、幼魚の生息場所の減少も原因となっているであろう。
比較的近年になって分類学的に整理されたためか、生活史など基本的な生物学的特性について不明な点が多い。栃木県では季節的に農業用水路を遡上しているという記録もある。保護のために、分布調査に加えて、季節的な移動などを含めた基本的な生活史を早急に解明する必要がある。
神奈川県では生息地の復元や放流のための種苗生産に取り組んでいる。
| 参考文献 |
| 1. | 十楚泰男,1979.ギバチの2型について.淡水魚,5: 104. |
| 2. | 神奈川県レッドデータ生物調査団(編),1995.神奈川県レッドデータ生物調査報告書.神奈川県立生命の星地球博物館,小田原.257pp. |
| 3. | 中村智幸・鈴木正臣,2000.農業用水路魚類利用実態調査−遡上実態−.栃木県水産試験場研究報告,44: 99-101. |
| 4. | Steindachner, F. and L. Doderlein, 1887. Beitrage zur Kenntniss der Fische Japan's IV. Denkschr. Akad. Wiss. Wien, 53(1): 257-296, pls.1-4. |
| 5. | 勝呂尚之・安藤隆,2000.神奈川県稀少淡水魚生息状況?(平成9・10年度).神奈川県水産総合研究所研究報告,(5): 25-40. |
| 6. | 勝呂尚之,2001.ギバチ種苗生産試験1.神奈川県水産総合研究所研究報告,(6): 97-107. |
| 7. | 田中正彦,1995.千葉県の淡水魚.新版 千葉県の生物,pp. 99-105.日本生物教育会第50回全国大会実行委員会. |
| 8. | 田中正彦,1996.千葉市の淡水魚−現地調査による魚類相の把握−.千葉市野生動植物の生息状況および生態系調査報告書,pp. 523-565.千葉市環境衛生局環境部. |
| 9. | Watanabe, K., and H. Maeda, 1995. Redescription of two ambiguous Japanese bagrids, Pseudobagrus aurantiacus (Temminck et Schlegel) and P. tokiensis Doderlein. Jpn. J. Ichthyol., 41: 409-420. |
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Pseudobagrus tokiensis : Siluriformes, Bagridae (VU) [Plate 11-E] Pseudobagrus tokiensis is distributed in the Kanto and Tohoku districts. Once considered conspecific with P. aurantiacus (Temminck et Schlegel), P. tokiensis was regarded as a junior synonym of the former. Although situation was resolved in 1995, the long history of taxonomic confusion is reflected in the present lack of accurate biological information on the species. Since it inhabits relatively clear water, populations have diminished because of recent urban development and river alterations, especially in Kanagawa and Chiba Prefectures. |