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平成22年度 モニタリングサイト1000 ウミガメ調査の結果について

 現在、世界中に7種類のウミガメが生息しています。ウミガメ類は普段、海で暮らしていますが、メスは砂浜に上陸して産卵します。日本の砂浜にも、4月から8月頃までの産卵期になると、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種類(いずれも環境省のレッドリストに所載する希少種)が産卵に訪れます。
 産卵回数(上陸しても必ず卵を産むとは限らないことから、「上陸回数」と「産卵回数」は異なります)は、成熟したメスの数や、餌となる生物の資源状態、産卵地となる砂浜の自然度などを強く反映します。そのため、ウミガメの生息個体数の目安や、海や砂浜の生態系の健全性を測る指標としてとらえることも可能で、我が国においては古くから各地で市民によるモニタリング調査が行われてきています。

 調査では、全国約40ヶ所の調査サイトにおける結果を集計しており、2010年度(平成22年度)にはアカウミガメ6,951回、アオウミガメ258回、タイマイ4回の産卵が記録されました。アカウミガメに関しては、2008年度(平成20年度)を若干上回り、最近7年間では最高となりました(図1)。近年、本種の産卵回数は増加傾向にあると考えられます。地域別には、これまでと同様に屋久島・種子島地方が最も多く、全体の約4分の3を占めました。 アカウミガメは、1つの個体の産卵周期が2年程度であり、これまでも数年ごとに多い年と少ない年が繰り返されてきました。2011年度(平成23年度)は減少が見込まれるのか、増加傾向になるのか注目されるところです。

平成22年度 モニタリングサイト1000 ウミガメ調査の結果について

図1 アカウミガメの産卵回数合計の推移(2004~2010)

 産卵地の温度は、ウミガメの卵に重要な影響を及ぼします。例えば、ウミガメの卵には発生中期の温度によって雌雄が決まる性質があり、30℃を越えるとほとんどメスばかり生まれることや、長い期間にわたり33℃よりも高い温度を経験すると卵は死んでしまうことが知られています。そこで、本調査では、異常気象やより長期的な気候変動がウミガメに及ぼす影響を評価・監視する目的で、昨年度から幾つかのサイトにおいて砂中温度もモニタリングしています。
 今年の夏は、連日、最高気温や連続真夏日の記録更新が報道されるような猛暑でした。このことはウミガメの卵の孵化に影響を及ぼす可能性が考えられます。そこで、まず、徳島県・日和佐大浜海岸を例に、今年度と昨年度の砂中温度を比較してみました(図2)。その結果、6月までは昨年度と大きな違いは見られなかったものの、7月下旬から10月までは昨年度より平均で1.3℃も高く推移していたことが分かりました(図2)。また、7月下旬から9月下旬までの間は30℃を上回り、特に8月後半には33℃を超える日が10日間以上も続いていました。 このことから、8月下旬まで砂の中に残っていた卵の多くは長い期間にわたり高い温度を経験したため、孵化できなかった可能性が推測されました。


図2 徳島県・日和佐大浜海岸サイトにおける砂中温度の季節変化
赤色の実線は平成22年度、黒色の実線は21年度

 徳島県のサイトではウミガメの卵にとっても「猛暑」であったようですが、他のサイトでは違う結果が得られました。例えば、国内最大のアカウミガメの産卵地である屋久島の田舎浜では、7月には温度が上がる時期と温度が下がる時期にずれがあるものの、両年でそれほど大きな違いは見られませんでした(図3)。また、八重山諸島の黒島・西の浜では、今年度はむしろ昨年度より低い温度で推移していました(図4)。 さらに、両サイトとも、徳島より南に位置しているにも関わらず、卵の生存が危うくなる33℃には達していないことも分かりました。このことから、今年の暑い夏の砂中温度への影響は、場所によって異なっていることが推察されました。


図3 屋久島・田舎浜サイトにおける砂中温度の季節変化
赤色の実線は平成22年度、黒色の実線は21年度

図4 黒島・西の浜サイトにおける砂中温度の季節変化
赤色の実線は平成22年度、黒色の実線は21年度
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