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平成21年度 モニタリングサイト1000 ウミガメ調査の結果について

 現在、世界中に7種類のウミガメが生息しています。ウミガメ類は普段、海で暮らしていますが、メスは砂浜に上陸して産卵します。日本の砂浜にも、4月から8月頃までの産卵期になると、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種類(いずれも環境省のレッドリストに所載する希少種)が産卵に訪れます。

 産卵回数(上陸しても必ず卵を産むとは限らないことから、「上陸回数」と「産卵回数」は異なります)は、成熟したメスの数や、餌となる生物の資源状態、産卵地となる砂浜の自然度などを強く反映します。そのため、ウミガメの生息個体数の目安や、海や砂浜の生態系の健全性を測る指標としてとらえることも可能で、我が国においては古くから各地で市民によるモニタリング調査が行われてきています。

 調査では、全国41ヶ所の調査サイトにおける結果を集計しており、2009年度(平成21年度)にはアカウミガメ4,708回、アオウミガメ112回、タイマイ3回の産卵が記録されました。2008年度(平成20年度)のアカウミガメの産卵回数については、いずれの地域も前年に比べて多いという特徴がありました(遠州灘:126%、紀伊半島:421%、四国:304%、九州:339%、屋久島・種子島:310%、奄美以南:214%)。 しかし、今年度(平成21年度)はどの地域もほぼ前年並みとなりました。アカウミガメは、1つの個体の産卵周期が概ね2年であることから、次年度以降の傾向が注目されます。
 今後、こうしたモニタリング調査を継続していくことで、海や砂浜の生態系の健全性を観測していきます。

平成21年度 モニタリングサイト1000 ウミガメ調査の結果について

図 41サイトにおけるアカウミガメの産卵回数合計の推移

 今年度(平成21年度)から、砂浜の砂中温度を測定する調査も開始しました。これは、砂中温度がウミガメの卵の発生に極めて重要な影響を及ぼすことが知られているからです。ウミガメは発生中期の温度によって性が決まります。発生中期の温度が高くなるほどとメスの割合が増え、逆に低ければオスが多くなり、メスとオスの割合が等しくなる「臨界温度」は29℃付近とされています。また、長い期間にわたり33℃よりも高い温度を経験すると卵は死んでしまいます。
 そこで、沖縄県や愛知県など幾つかのサイトにおいて、砂中温度がどのように変化するのかを調べるために、温度を自動的に記録する「温度ロガー」を砂浜に埋めることにしました。
 温度ロガーは500円玉くらいの大きさのものです。温度ロガーは広い砂浜のうち、ウミガメが産卵する場所とほぼ同じ場所に埋めています。埋めたあとでも掘り出せるように、「水道マーカー」と一緒に埋めています(写真)。このため、砂中温度のデータを収集するときには専用の探知機で、この水道マーカーを探り当てて、温度ロガーを掘り出します。


写真 砂浜に埋める温度ロガー(オレンジ)と、探知機で探し出すための水道マーカー(青)

 ここで、徳島県日和佐大浜海岸サイトにおいて調べた砂中温度の事例を紹介します。本サイトの砂中温度は5月頃から徐々に高くなり、7月中旬頃には臨界温度に達していることがわかりました。その後、9月下旬までは臨界温度より高い温度が多く見られ、10月以降になると臨界温度よりも低くなりました。
 この結果から、本サイトでは、7月中旬までと10月以降に発生中期を迎える卵ではオスが生まれやすく、7月中旬から9月下旬の期間に発生中期を迎える卵ではメスが生まれやすいと考えられました。なお、日和佐大浜海岸サイトの砂中温度は生存限界温度である33℃に達しないこともわかりました。


図 徳島県日和佐大浜海岸サイトにおける砂中温度の季節変化
赤色の破線は卵の生存限界、灰色の破線は性決定の臨界温度

 この砂中温度の調査を継続していくことにより、今後、地球温暖化などの影響により、砂浜の砂中温度がどう変化するのか、また、砂浜の侵食により、卵が海水に浸るのではないか(浸ると、温度が下がります)など、ウミガメの産卵環境をモニタリングしていく上で重要なデータが得られるものと思われます。

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