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自然環境保全基礎調査
特定哺乳類生息状況調査
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平成22年度 特定哺乳類生息状況調査報告書(平成23年)
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要約
   中大型哺乳類5種(ヒグマ・ツキノワグマ・ニホンジカ・イノシシ・ニホンザル)を対象とした全国的な個体数推定を行うとともに、効率的かつ効果的な生息動向の把握に関する手法の提示を行うほか、今後継続的に野生生物の生息状況を収集するための体制を維持していく上での課題の整理を行った。
   対象5種の全国個体数推定は、各地域における生息状況調査の実施状況を把握した上で、各推定個体数の集計により実施した。この方法により、クマ類とニホンジカの全国個体数推定を行った。イノシシについては個体数推定方法が未確立であるため推定個体数の集計は行わず、また、ニホンザルに関しては個体数に関する情報のない地域が特に西日本に広く存在していたため、既存情報を用いた外挿法による全国個体数推定を行った。
   もう一つの手法として、全国で収集されている情報である捕獲数を用いた階層ベイズ法による個体数推定方法を構築した。用いた情報は約10年間の狩猟・許可捕獲数(ニホンザルは許可捕獲数)であり、ニホンジカとイノシシはこれに加えて狩猟者登録数も用いた。本調査では全国を対象として個体数を推定したが、本モデルは、今後各都道府県で生息密度指標を得ることができれば捕獲数の年変動の大きい都道府県単位での個体数推定や生息動向把握に活用可能なモデルである。
   以上の方法により、対象5種の全国個体数は、ヒグマについては既存情報(2000年度以降の調査資料、以下同じ)の集計により1,771〜3,628頭(中央値2,700頭)、階層ベイズ法により887-20,597頭(中央値3,423頭:90%信用区間、2008年度)、ツキノワグマについては既存情報の集計により12,297〜19,096頭(中央値15,685頭)、階層ベイズ法により3,565-95,112頭(中央値14,159:90%信用区間、2008年度)、ニホンジカについては既存情報の集計により954,224〜1,811,934頭(中央値1,342,584頭)、階層ベイズ法により684,971〜8,597,522頭(中央値1,686,294頭:90%信用区間、2007年度)、イノシシについては階層ベイズ法により223,120〜1,207,428頭(中央値417,205頭:90%信用区間、2007年度)、ニホンザルについては都道府県などによる既存情報と、外挿法による調査空白域の推定値を合算により推定群れ数:3,025-3,149(中央値3,069)、推定個体数:145,973-165,062(中央値154,805)、群れを構成しないハナレザルの推定個体数:14,597-33,012頭(中央値23,805頭)、階層ベイズ法により48,616〜2,159,104頭(中央値216,446頭:90%信用区間、2008年度、ハナレザルを含む)と推定された。
   各都道府県における中大型哺乳類5種の生息動向把握の実施状況を整理した。その上で、生息動向を効率的かつ効果的に把握する方法を検討した。
   また、中大型哺乳類等に関して、農村地域及び奥山を含む全国レベルの生息情報等収集する際の自然環境保全基礎調査における課題を具体的に整理し、今後も継続的に野生生物の生息方法を収集していくために必要な事項について、具体的な対応方針の検討を行った。
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