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カワウの生態と保護管理の背景

カワウの生態

環境省.2004.特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編)より

分類と形態

カワウ
カワウ

カワウの仲間(ウ類)は、ペリカン目ウ科に分類され、世界で約40種が確認されている。カワウ (学名Phalacrocorax carbo) は、世界に広く分布しており、その分布域は、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリア、北米等、南米以外の大陸とオセアニアに及ぶ。

日本に生息するカワウは、P.c.hanedae という亜種に分類され、日本とその周辺(サハリン、韓国、台湾)のみに分布し、主に本州以南に生息すると言われていたが、1999年に北海道でも生息が確認され、2001年には繁殖が観察されている。日本には全部で4種のウ類が生息するが、ヒメウとチシマウガラスは北海道の沿岸部の限られた地域に分布する。ウミウはロシア沿海州、北海道、本州北部の沿岸部での断崖などで繁殖し、冬期には本州から九州に至る日本各地の沿岸部に渡り冬を越す。カワウのみが他の3種と異なり、内湾を中心とした沿岸部から内陸の河川、湖沼までの水域を広く利用する。

カワウの体長は約80〜85cm、翼長は31〜34cm、体重は約1.5〜2.5kgである。オスはメスよりもやや大きいが、野外では区別が難しい。羽色は全身褐色がかった黒色で、繁殖期になると頭部と腰部に白い繁殖羽が生じ、目の下の露出部が赤くなり、下嘴の付け根の黄色い裸出部は黒が混ざり遠くから見るとオリーブ色に見える。ウミウはカワウに良く似ているが、ひとまわり大きく、背と雨覆いには緑色の光沢があり、黄色の裸出部の形状が異なる。




食性と採食行動

カワウは魚食性の鳥である。沿岸部の海水域から汽水域、内陸部の淡水域までの幅広い水域で潜水して魚類を採食している。採食時に潜水する深さは水面から1m〜9.5mで、長いときは約70秒間も潜ると言われている。飼育下での記録では、1日に約330gを食べた記録があるほかに、1日あたり400g〜620gを食べた記録がある。飼育下では魚の密度が高く逃げ場がないなど、野外よりも容易に採食できる環境での結果だということは注意が必要である。野外での採食量は、気温を24℃前後とすると、体重1kgあたり262gと推定されている。

日本のカワウは基本的に国境を越えるような長距離の渡りは行わないが、季節によって採食する水域を変える。関東地方ではカワウの採食場所が春から夏に沿岸部、秋から冬に内陸部の河川へ変化し、また冬は内陸部にねぐらをとるカワウの個体数が増えることも知られている。こうした季節的移動は、海岸一帯にいるカワウの餌となる魚が、冬期になるとカワウが潜水できる深さよりもさらに深い場所に移動してしまうことが原因と考えられている。

行動時間帯は昼間に限られ、夜間は採食・移動はしない。おもに早朝の2時間ほどの間に採食するが、沿岸部では潮汐との関係で採食時間は変動する。群れで採食しているとよく目立つが、単独から数羽で採食していることも多い。ニホンザルでみられるような群れのリーダー的な存在はいないと考えられている。人などに驚いて飛び立つ際に、胃の中の魚を吐き出して、体を軽くして飛び立つことがある。




繁殖生態とねぐら

カワウの大きな特徴のひとつは、群れで行動することである.昼間もしばしば大きな群れを形成して移動、採食することが観察されるが、特に夜間は群れで休息・睡眠し、繁殖も多数の個体が集まって行なう。

コロニー(集団営巣地)とは、多数の個体が集まって密集して巣を造って繁殖する場所のことである。ねぐらとは多数の個体が集まって夜間の休息・睡眠をとる場所をいう。コロニーのほとんどは、繁殖期以外もねぐらとして利用される。

コロニーやねぐらは水辺に接する場所に作られる。森林以外にも海岸・湖沼に近い岸壁や人がつくった建造物、巣台などさまざまな場所や構造物を利用する。人の近づかない安全な場所では地上営巣も観察されている。しばしばカワウとサギ類などは一緒にコロニーを形成する。

カワウは場所により繁殖の期間に大きな違いが見られる。下北半島では3月中旬から9月、愛知県では1月から7月、大分県沖黒島では1月から7月である。東京都台東区の上野不忍池では、初秋から初夏までほぼ1年中繁殖活動がみられ、9月から11月と、2月から4月の年2回繁殖のピークがみられる。このように、カワウは日長や気温に関係なく、どの季節にも生理的に繁殖可能な種であるとされている。

巣は、木の細い枝や枯れ草、青葉等を直径40cm〜60cmの皿型に組み合わせて造る。巣材運びは唯一雌雄の分担が顕著に見られる行動で、主に雄が運び、雌が巣作りを行なう。

1腹卵数(1回の営巣で産む卵数)は1〜7個で3個がもっとも多い。抱卵日数は24日〜32日、孵化後31日〜59日で巣立つ。抱卵は雌雄が1日2回以上交代して行ない、ヒナへの給餌は雌雄ともに行なう。

カワウの繁殖齢(繁殖を開始する年齢)は1〜8才である。東京都不忍池のコロニーにおける調査では、雄平均2.1才、雌平均2.6才と試算されており、雄の方が早く繁殖を開始する。

1組のペアのカワウが1回に巣立たせるヒナの数は0羽から5羽、生涯に巣立たせるヒナの数は、0羽から18羽と試算されている。1巣当たりの巣立ちヒナ数はコロニー毎に異なり、また同一のコロニーでも年により変動する。




生息状況の変遷

近世のわが国におけるカワウの生息状況は大きく3つの変化相を経ている。20世紀前半までにおける全国的な生息の時期、1970年代を底とした急激な減少期、そして1980年代以降の回復期である。

1970年以前のカワウの分布や個体数などの生息状況の記録は断片的なものしかないが、アンケートと文献調査により、青森、福島、茨城、千葉、東京、岐阜、愛知、三重、兵庫、大分、宮崎、鹿児島の1都11県における生息は確認されている。また生息状況そのものではないが、過去の鳥獣関係統計(狩猟統計)により間接的にその生息状況が推定できる。1950年代以前には、カワウは本州以南の内陸部も含めた広い地域に分布していたことがうかがえる。この統計によると1930年代における捕獲総数は、狩猟数と駆除数を合わせて年平均7,300羽以上に達しており、全国における生息数はこれよりも遥かに多かったと考えられる。

その後、カワウの生息数は減少し、各地にあったコロニーやねぐらは消失して生息域が分断化し、レッドデータブックの絶滅危惧に相当すると推定される段階にまで落ち込んだ。1971年には、関東で最大だった千葉県大巌寺のコロニーが消失し、残ったコロニーは愛知県鵜の山と大分県沖黒島、それに上野動物園の飼育個体に由来するコロニーのみとなり、全国で総数3,000羽以下に減少したと考えられている。1978年においてもコロニーは全国で青森県、東京都、愛知県、三重県、大分県に各1箇所ずつ、わずか5箇所程度であった。

関東地方では1970年代前後の高度経済成長の時代に、主要な捕食場所である内湾の埋め立てや水質汚濁などが進行し、その結果カワウの採食環境が悪化し個体数が減少したと考えられている。またダイオキシン類などの化学物質汚染の影響によって繁殖が低下した可能性も指摘されている。世界的に見ても同様の現象が見られ、ヨーロッパのカワウや北米のミミヒメウは、1970年頃にかけて減少し、その原因として環境中の有害化学物質の蓄積、食物資源の減少、狩猟圧などによって繁殖力が低下したことが報告されている。

1980年代にはいると、関東地方や愛知・三重を中心にコロニーの分布は拡大していった。関東地方のねぐらの分布もこの時期に拡大し、近畿・中国・四国地方における観察報告もこの時期に増加している。分布拡大や個体数の回復の要因についてはまだよくわかっていないが、コロニーの保護、水質改善、また撹乱による分散などの複合的な要因によって、もとの状態に戻りつつあると見ることもできる。1980年代以降急速に生息分布は拡大していき、1990年から1994年までに1都2府37県、1995年から1998年までに北海道と東北の一部を除いてほぼ全国に広がった。コロニーも、1998年時点で合計47ヶ所のコロニーが確認されており、1978年からの20年間にコロニーの数は約10倍に増えている。