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| 藻類 | CR+EN(絶滅危惧I類) | |
| 緑藻綱・シオグサ目・シオグサ科 | ||
| マリモ | ||
| Cladophora aegagropila (Linnaeus) Rabenhorst Syn. C. sauteri (Kutzing) Kutzing | ||
| ●摘 要 | ||
| マリモは北海道阿寒湖のほか、本州中部以北のいくつかの湖沼でも生育し、北半球の北部に広く分布するが、球状の集団を形成するのは阿寒湖のものだけである。湖沼の富栄養化などによりマリモの生育は減少している場所が多い。 | ||
| ●形 態 | ||
| 体は一列細胞からなる糸状体でよく分枝し、ふつう長さ0.5-3.5cmになり、分枝は互生的かときに対生的で、細胞の末端からすこし離れたところから生じ、分枝の角度は大きく、関節はややくびれることもある。ふつう基物に付着せず、砂泥質の湖底に堆積し、適当な条件下で球形の集団を作り、緻密な集団は表面がビロード状である。大きいものは直径25cmになり、大型化したものは内部が中空になる。 | ||
| ●分布の概要 | ||
| 北海道では阿寒湖のほか釧路湿原の達古武沼、塘路湖、シラルトロ湖およびオホーツク沿岸のチミケップ湖などに生育し、本州では青森県の左京沼や小川原湖、山梨県の富士五湖でも生育が知られている。日本以外でも北半球のいくつかの湖沼から報告されているが、緻密なビロード状の球形集団を形成するものは阿寒湖だけで知られている。 | ||
| ●生物学的特性 | ||
| 基物に付着しないマリモは体の生長と分断によって栄養的に繁殖している。遊走子形成は極めてまれに実験室内で観察されているに過ぎない。阿寒湖の生育地は川の流入のある場所で、低質は砂か軟泥で、マリモは水深0.5-10mの範囲に生育している。 | ||
| ●分布域の動向と生育状況 | ||
| 阿寒湖では尻駒別のマリモ個体群がなくなったほかは分布範囲に変化は少ない。富士五湖の山中湖、河口湖、西湖の個体群は著しく減少している。 阿寒湖北岸のチュウルイ湾、キネタンベ湾の個体群については、1973、1985年に現存量調査が行われ、この間マリモの総量には大きな変化はない。しかし、チュウルイ湾のビロード状毬団の量が顕著に減少した。その後の変化についてはまだ発表されていない。その他の湖沼については詳しい資料はない。 | ||
| ●存続を脅かしている原因 | ||
| 阿寒湖においては、湖西部の尻駒別湾の個体群が1930年代に材木搬出作業のために絶滅し、その後温泉街の発展とともに湖水の水質が悪化し、透明度は減少し、夏季にアオコの発生が常態化した。 | ||
| ●特記事項 | ||
| マリモは種としては多数の湖沼に生育している。しかし多量に生育し、美しい球形集団を形成しているのは阿寒湖のマリモだけである。 | ||
| ●保護対策 | ||
| 特別天然記念物に指定されている阿寒湖では、水質保全のために湖畔の温泉街に下水道を設備したり、地元にマリモ保存会が組織されたりしている。 | ||
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| 広瀬弘幸・山岸高旺(編),1977.日本淡水藻図鑑,pp. 329-333.内田老鶴圃,東京. 黒木宗尚(編),1986.昭和60,61年度「特別天然記念物阿寒湖のマリモの生息状況」調査報告書.阿寒町.54pp. 阪井與志雄,1991.マリモの科学.北大図書刊行会,札幌.202pp. 吉田忠生,1994.マリモ.日本の希少な野生水生生物に関する基礎資料(I),pp. 643-647.水産庁. | ||
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| 執筆者:吉田忠生(北海道大学名誉教授) | ||