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とちぎの元気な森づくり県民税

●導入時期:平成20(2008)年4月
●実施主体:栃木県

背景

栃木県では、森林は県土の約55%を占め、木材の生産、水資源のかん養などの機能以外にも、レクリエーションや保健休養の場として、多くの人々に親しまれ、県民の生活に欠かすことのできない重要な役割を果たしています。しかし、高度成長期・バブル期などにおけるレクリエーション施設や宅地などの開発により、森林面積が減少を続ける一方で、輸入木材との競合等による国産材の需要減少や木材価格の低迷が林業・木材産業の活力を低下させ、適正な森林の管理が行われにくい状況にあります。

特に、県内の森林の約6割を占める民有林のうち、間伐が必要となる16〜60年生のスギ・ヒノキの林が平成20(2008)度末の時点で約10万ヘクタール(県の森林面積の約3割)あり、このうち約7万ヘクタールは、主に建築用の木材として利用可能な36〜60年生の森林となっています。これらの森林では、30年前と比べて3分の1以下に落ち込んでいる木材価格(県産スギ丸太は平成20(2008)年に12,700円/m3(栃木県,2009))の低迷等を理由に、その半数近くが間伐などの手入れが行き届かないまま残されています。

栃木県の森林面積構成の図
概要

栃木県では、県民全体の理解と協力の下に森林を守り育て、元気な森を次の世代に引き継いでいくために、平成20(2008)年4月から「とちぎの元気な森づくり県民税」を導入しています。

生態系サービスへの支払いの図

税収の8割近くは、過去15年以上手入れがされず、採算がとれない人工林の間伐や、地域が将来まで守り育て残したい里山林の整備、獣害を軽減するための対策などを行うハード事業(森林整備事業)に使用されます。また、県民の森づくり活動を支援したり、森林の大切さの理解促進するための環境教育・情報発信を行ったり、木の良さを普及するために間伐材を利用した椅子や学習机、ベンチを学校や多くの県民が利用する施設に提供したり、ソフト事業(「森を育む人づくり」)も実施されています。

とちぎの元気な森づくり県民税の主な成果(平成20年度)の図人工林の間伐実施面積推移の図
評価の開示

栃木県では、毎年、「とちぎの元気な森づくり県民税事業評価委員会」において各事業の有効性、効率性、進捗度を評価し、その結果を毎年9月に公表しています。

とちぎの元気な森づくり県民税の事業評価項目の図

例えば、平成20(2008)年度の評価報告書では、森林整備事業の一つである「とちぎの元気な森づくり奥山林整備事業」について、事業の効果を「有効性」の観点から以下のように洪水防止便益、水質浄化便益、土砂流出防止便益の評価額(1,530千円/ha)を算出し、実際にかかった費用(181千円/ha)と比較して評価しています。効率性については、決算額を整備実績面積で割った数(181千円/ha)を他県の類似事業と比較しています。進捗度は、整備計画面積と整備実績面積(進捗度)、予算額と決算額(予算執行率)の2つの側面から評価しています。

有効性についての事業評価の図

また、金銭的な評価が難しいソフト事業や森林整備事業でも、景観、通学路や住宅地周辺の安全・安心確保、そして野生獣害軽減を目的とした里山林整備については、参加者や事業の影響を受ける住民などにアンケートを実施し、事業の効果を評価している回答者の割合をもとに事業の有効性を分析しています。

●参考文献
・下野新聞平成22(2010)年8 月13 日朝刊「人工林間伐5年前の倍 県内、09 年度は6100 ヘクタール 森づくり税など後押し」
・栃木県(2006)『第4次栃木県緑化基本計画―とちぎグリーンネットワークプランー』
・栃木県(2009)『平成21年度栃木県環境白書』
・とちぎの元気な森づくり県民税事業評価委員会(2009)『平成20年度とちぎの元気な森づくり県民税事業評価報告書』
・栃木県HP「とちぎの元気な森づくり」
http://www.pref.tochigi.lg.jp/d01/eco/shinrin/zenpan/genkinamoridukuri.html

●協力
栃木県環境森林政策課

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