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高知県森林環境税

●導入時期:平成15(2003)年
●実施主体:高知県

背景

高知県は森林率が84%(林野庁「平成19年度森林資源現況調査」)で全国1位、人工林率が66%で全国2位です。高知県の山では、戦後の木材需要で過伐された森林が多かったこともあって、国の拡大造林の方針に応じて、画一的で大規模な植林が続けられてきました。しかし、過疎・高齢化や木材価格の低迷によって森林所有者が生産意欲をなくし、手入れが行き届かない、いわゆる放棄林が増えています。密植されたままの人工林の中は日照量が不足するため下草が生えず、その結果、水源かん養機能の低下や土壌の流出、川や海の生態系への悪影響など、生活環境に関わる深刻な問題となってきています。

概要

森林の恵みは、森林所有者だけでなく、社会全体が受益者となるものですが、森林が持っている様々な価値の中で、所有者が森林の手入れをする主な動機になるのは木材を生産するという経済的な価値であるため、林業の収益性の悪化とともに森林の手入れが不十分になってしまっています。そこで、森林の手入れを所有者だけに任せるのではなく、全県民の力で森林を守ることによって、森林のいろいろな働きが将来にわたって保たれるようにしようと、高知県は、平成15(2003)年に日本の自治体で初めて森林環境税を導入しました。

高知県森林環境税による事業の仕組み

高知県の森林環境税は、県民税に年額で500円を上乗せする県民税超過課税方式が採用され、個人・法人とも公平に税金を負担する形になっています。

集められた税収は、「森林環境保全基金」として積み立てられ、その使い道は第三者機関での議論を経て、県民参加による森林保全活動(ソフト事業)と公益上重要で緊急に整備を必要とする森林整備(ハード事業)に充てられています。これまでに(平成15(2003)年〜平成21(2009)年)、ダム上流域などの9,010haの整備を実施したほか、「こうちの山の日」のような県民による森林保全に関連する活動の支援や森林ボランティア団体の増加などが大きな成果として挙げられます。

生態系サービスへの支払いの図

整備対象となる森林が限定され少ない面積にとどまったことから、平成20(2008)年からの2期目では、CO2の吸収源を確保するという目的も加えて、人工林の若齢林を集中的に整備することになっています(目標面積は5年間で25,000ha)。さらに、都市部側からの税の実感が得にくいという声に応えるため、森林整備事業と連動した形で小中学校などの行う森林環境学習、森林保全ボランティア活動の支援など、森林への理解と関わりを深める県民の活動を支援することとしています。

高知県森林環境税の主な成果 平成20(2008)年度決算整備された森林(高知県提供)

【写真】整備された森林 ©高知県

県民アンケート

高知県では、森林環境税制度の点検に活用するため県民を対象としたアンケートを第1期(平成15(2003)〜平成19(2007)年度)に2年に一度行っています。第2期に入る直前のアンケートでは、森林環境税の継続については、「大いに賛成」(45.2%)、「どちらかといえば賛成」(38.3%)が「反対」(2.4%)と「どちらかといえば反対」(3.3%)を大きく上回り、県民から一定の評価を得ていることが明らかになっています。

県民の森林への理解を深めるための事業の様子(高知県提供)

【写真】県民の森林への理解を深めるための事業の様子 ©高知県

●参考文献
・高知県HP「森林環境税のページ」
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030101/kankyouzei.html
・高知の森づくり推進委員会(2002)『健全な高知の森づくりに向けて』

●協力
高知県林業振興・環境部林業環境政策課

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