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生物資源の安定調達と国際ルールの遵守に関する公開シンポジウムの開催結果について

 環境省は、6月30日(火)に東京都内において、生物多様性の取組みに関心のある事業者等を主な対象とし、「生物資源の安定調達と国際ルールの遵守に関するシンポジウム」を開催しました。


 味の素株式会社の國本裕顧問による基調講演のほか、原材料調達に関する生物多様性の観点からの配慮についての先進的な企業の取組や団体による支援の事例や国際ルールなど他の国・地域の最近動向について紹介しました。


 パネルディスカッションでは、株式会社レスポンスアビリティの足立直樹代表をコーディネーターに迎え、生物資源の安定調達に際し企業が遵守すべき事項などについて意見交換を行いました。


 なお、関連する取り組みとして、6月24日(水)には「原材料調達における生物多様性への配慮としてのABS※」をテーマに環境省主催の勉強会を開催しました。


※ ABS(Access and Benefit-Sharing):遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分。

開催概要

「生物資源の安定調達と国際ルールの遵守に関する公開シンポジウム」開催概要は以下の通りです。

日時

平成27年6月30日(火)14:00~16:30

会場

東京ウイメンズプラザホール(東京都渋谷区神宮前5-53-67)

主催等

主催:環境省、一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC)

協力:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)

出席者数

約150名

開催結果 1.開催挨拶

 北村茂男環境副大臣


2.第一部 基調講演「原材料調達における生物多様性への配慮」

 味の素株式会社常任顧問 國本 裕


 地球的課題を解決するため味の素グループが事業を通じて貢献する「地球持続性」「食資源」「健康な生活」の3つの方向性の背景についてお話しいただくとともに、実際に展開されている生物多様性の取組みを中心に、再生可能エネルギー活用推進や温室効果ガス削減のプロジェクトについても紹介いただきました。


 また、サプライチェーン管理を通じた持続可能な調達に着目した行動規範とガイドラインを設定し、サトウキビなどの農産資源を地域全体で循環させるバイオサイクルや、かつお節の原料となるカツオの国際資源管理などの具体的取組を紹介いただきました。


3.第二部 基調報告

(1)「学術研究と生物多様性」国立遺伝学研究所知的財産室室長 森岡 一

 学術研究における遺伝資源の取り扱いに関する啓発活動や相談等を行うため、遺伝学研究所にABS学術対策チームが発足したことについてお話しいただきました。また、遺伝資源の取扱いについて、研究者の意見収集、様々な相談窓口、大学での講演などの啓発活動や、何を参照すれば良いか分かるような、遺伝資源の取得の際に必要な契約書の見本集などツールキットの作成など、具体的な取組についてご紹介いただきました。


(2)「これまでの企業等への支援の取組」一般財団法人バイオインダストリー協会生物資源総合研究所技術顧問 炭田 精造

 バイオインダストリー協会は、生物多様性条約が発効した90年代初頭からいち早くABS関係の事業に着手し、企業や研究者の声を吸いあげながらABS支援体制を構築してきたことについてお話しいただきました。特に、「遺伝資源へのアクセス手引」や提供国の国内法令等に関する情報提供のためのWebの作成、相談窓口の設置、情報収集のための二国間の交流等、具体的な支援内容についてお話しいただきました。


4.第三部 パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは、コーディネーターに株式会社レスポンスアビリティの足立代表をお迎えし、第一部、第二部の内容を振り返りながら、パネリストの方々と、生物資源の安定調達や様々な国際ルールへの対応、企業の取り組むべき姿勢等について議論していただきました。


 議論に先立ち、各パネリストからそれぞれの所属団体等の取組みや最近の国際動向について報告がありました。


 先ず、株式会社ニムラ・ジェネティック・ソリューションズの二村社長から、顧客企業の求める商業的価値を海外の遺伝資源から生み出すサポートをするという仕事をしており、これまでは海外の遺伝資源の持ち出しを制限することで現地の許可を取得するという観点から、出来るだけ現地で研究する、海外研究受託的な仕事が多かったが、最近は提供国の側から、どうすれば利用国と連携できるかという相談が増えているという報告がありました。


 次に、株式会社フルッタフルッタ長澤社長から、ブラジル原産の果物アサイーに関して、生産性と経済性がある生物多様性を取り込んだ農業であるアグロフォレストリーについてご紹介いただきました。


 続いて、一般財団法人地球・人間環境フォーラムの坂本部長から、木材の調達を通じた森林の持続可能な管理経営についての報告がありました。環境社会配慮を行う調達方針を設けて実施するフェアウッドパートナーズという活動や、日本の企業に対して認証されているパーム油の使用を提案していることについてご紹介いただきました。


 環境省生物多様性施策推進室の堀上室長からは、昨年のCOP12での愛知目標の中間評価について、達成不十分でさらなる対策が必要という評価であり、国際社会において民間の役割・参画の推進が強く求められていること、環境省として民間がどう関わるかを一緒に考え、サポートしたいこと等について述べました。


 先ず、生物資源の安定調達のために先進的な企業や団体が何を行っているのかについて議論しました。坂本部長からは、パーム油を原材料として使っている先進的な企業の場合、国際的な枠組みに参加し認証を取るだけではNGOからの批判は避けられず自ら調達方針を作って、目標や進捗状況を報告・公開する必要もあると発言がありました。長澤社長から、アグロフォレストリーは、少量多品目でなかなか現地では続かないため、森を作るという付加価値を付け、それを地元に還元することがアグロフォレストリーを残すことにつながるとの話がありました。二村社長からは、現地が安心できる方策をとることが大切で、自分たちの遺伝資源がただ流出していると感じさせないために現地での協業が重要で、そのために現地へのキャパシティ-ビルディングに協力すべきとの発言がありました。


 コーディネーターの足立代表からは、パネリストの話の共通点は現地との信頼関係であり、現地のニーズを考慮することが大事であるとのコメントがありました。


 次に、実際に現場で企業がどのような基準やルールを念頭に置くべきかについて議論しました。坂本部長からは、それぞれの企業が調達方針を作る際には調達ルートなどを正確に把握するようお願いしているとの話がありました。また、現地のステークホルダーとの話し合いを行い、何を重視するか明確化することが重要であると発言がありました。二村社長からは、遺伝資源を保有している国の法制度に従うことが大前提であること、国内制度がない場合でも生物多様性条約に準拠しコンセンサスを得る必要があること、どこかから変な言いがかりがついたときにもこういう手続きに基づいてやっていて利益還元する意思があると示せること、が大切だとお話しいただきました。堀上室長から、ルールといっても、国際的なものから、現地、国レベル、モラルなど、幅があり、きちんと情報を提示し、また情報交換していくことが必要であることについて述べました。


 最後に、行政に期待することとして、坂本部長から、2020年の東京オリンピックはビジネスにとって大きなチャンスであり、木材等の持続可能な調達に向け、企業と取組を広げていくことを応援してほしいとお話しいただきました。長澤社長からは、企業が集まってコンソーシアムを組織するような場合にその管理者として行政の役割が期待されるとお話しいただきました。また、二村社長から、企業のまじめな取り組みが後退しないように、きちんとやっている企業にインセンティブを与える仕組みが必要であるとお話しいただきました。


 国際ルールの遵守に関し、パネルディスカッションの中で、足立代表からは、条約や法令などの「ハードロー」だけでなく、最近は業界内で広く受け容れられているものが力を持ち、守らないと企業の評判が悪くなる、モラルや地域の伝統などの「ソフトロー」についても、今後考慮していく必要生について話がありました。



 今回のシンポジウムでは、原材料調達の現場における先進的な企業の取組みや、支援団体の取組みなどを紹介していただきました。生物資源の調達に際しては、相手国の法律や国際条約などを遵守することだけでなく、ニーズの把握や現地との話し合いを通じ、信頼関係を構築することの重要性が確認されました。

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