昆明・モントリオール生物多様性枠組について

昆明・モントリオール生物多様性枠組について

昆明・モントリオール生物多様性枠組とは、2020年までの国際目標であった愛知目標に代わる、2021年以降の新たな国際目標です。2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議で採択されました。

2050ビジョン

この枠組のビジョンは、「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される」自然と共生する世界である。

ゴールA

すべての生態系の健全性、連結性及びレジリエンスが維持され、強化され、又は回復され、2050年までに自然生態系の面積を大幅に増加させる; 既知の絶滅危惧種の人によって引き起こされる絶滅が阻止され、2050年までに、すべての種の絶滅率及びリスクが10分の1に削減され、在来の野生種の個体数が健全かつレジリエントな水準まで増加される; 野生種及び家畜・栽培種の個体群内の遺伝的多様性が維持され、その適応能力が保護される。

ゴールB

生物多様性が持続的に利用及び管理されるとともに、生態系の機能やサービスを含む自然がもたらすものが、大切にされ、維持され、そして現在低下しているものが回復されることで増強されることで、持続可能な開発の達成を支え、2050年までに現在及び将来の世代に便益をもたらす。

ゴールC

国際的に合意されたアクセスと利益配分に関する法的文書に従い、遺伝資源に関連する伝統的知識を適切に保護しつつ、遺伝資源、遺伝資源に関する塩基配列情報、及び該当する場合には遺伝資源に関連する伝統的知識の利用から生じる金銭的・非金銭的利益が、公正かつ公平に、必要に応じて先住民及び地域社会も含めて配分されるともに、2050年までに大幅に増加することによって、生物多様性の保全及び持続可能な利用に貢献する。

ゴールD

年間7,000億ドルの生物多様性の資金ギャップを徐々に縮小し、資金フローを昆明-モントリオール地球規模生物多様性枠組と2050年ビジョンに整合させながら、昆明-モントリオール地球規模生物多様性枠組を完全に実施するための、資金、能力構築、科学技術協力、技術へのアクセスと技術の移転を含む、十分な実施手段が、すべての締約国、特に後発開発途上国、小島嶼開発途上国、並びに経済移行国に対して確保され、衡平にアクセスできるようになる。

2030年ミッション

必要な実施手段を提供しつつ、生物多様性を保全するとともに持続可能な形で利用すること、そして遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を確保することにより、人々と地球のために自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる

ターゲットについて

1. 生物多様性への脅威の削減

ターゲット1 空間計画の設定

すべての地域を参加型・統合的で生物多様性に配慮した空間計画下及び/又は効果的な管理プロセス下に置く。

ターゲット2 自然再生

劣化した生態系の 30%の地域を効果的な回復下に置く。

ターゲット3 30by30

陸と海のそれぞれ少なくとも 30%を保護地域及び OECM により保全 (30by30 目標)。

ターゲット4 種・遺伝子の保全

絶滅リスクを大幅に減らすために緊急の管理行動を確保、人間と野生生物との軋轢を最小化。

ターゲット5 生物採取の適正化

乱獲を防止するなど、野生種の利用等が持続的かつ安全、合法なものにする。

ターゲット6 外来種対策

侵略的外来種の導入率及び定着率を 50%以上削減。

ターゲット7 汚染防止・削減

環境中に流出する過剰な栄養素の半減、農薬及び有害性の高い化学物質による全体的なリスクの半減、プラスチック汚染の防止・削減。

ターゲット8 気候変動対策

自然を活用した解決策/生態系を活用したアプローチ等を通じた、気候変動による生物多様性への影響の 最小化。

2. 持続可能な利用と利益配分を通じて人々のニーズを満たすこと

ターゲット9 野生種の持続可能な利用

野生種の管理と利用を持続可能なものとし、人々に社会的、経済的、環境的な恩恵をもたらす。

ターゲット10 農林漁業の持続的管理

農業、養殖業、漁業、林業地域が持続的に管理され、生産システムの強靭性及び長期的な効率性と生産性、並びに食料安全保障に貢献。

ターゲット11 自然の調節機能の活用

自然を活用した解決策/生態系を活用したアプローチを通じた、自然の寄与(NCP)の回復、維持、強化。

ターゲット12 緑地親水空間の確保

都市部における緑地・親水空間の面積、質、アクセス、便益の増加、及び生物多様性を配慮した都市計画の確保。

ターゲット13 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)

遺伝資源及びデジタル配列情報(DSI)に係る利益配分の措置をとり、アクセスと利益配分(ABS)に関する文書に従った利益配分の大幅な増加を促進。

3. 実施と主流化のためのツールと解決策

ターゲット14 生物多様性の主流化

生物多様性の多様な価値を、政策・方針、規制、計画、開発プロセス、貧困撲滅戦略、戦略的環境アセスメント、環境インパクトアセスメント及び必要に応じ国民勘定に統合することを確保。

ターゲット15 ビジネスの影響評価・開示

生物多様性への負荷を削減し、正の影響を増加するために、事業者(ビジネス)が、特に大企業や金融機関等は確実に、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存や影響を評価・開示し、持続可能な消費のために必要な情報を提供するための措置を講じる。

ターゲット16 持続可能な消費

適切な情報により持続可能な消費の選択を可能とし、食料廃棄の半減、過剰消費の大幅な削減、廃棄物発生の大幅削減等を通じて、グローバルフットプリントを削減。

ターゲット17 バイオセーフティー

バイオセーフティのための措置、バイオテクノロジーの取り扱い及びその利益配分のための措置を確立

ターゲット18 有害補助金の特定・見直し

生物多様性に有害なインセンティブ(補助金等)の特定、及びその廃止又は改革を行い、少なくとも年間5,000 億ドルを削減するとともに、生物多様性に有益なインセンティブを拡大。

ターゲット19 資金の動員

あらゆる資金源から年間 2,000 億ドル動員、先進国から途上国への国際資金は 2025 年までに年間 200 億ドル、2030 年までに年間 300 億ドルまで増加。

ターゲット20 能力構築、技術移転

能力構築及び開発並びに技術へのアクセス及び技術移転を強化。

ターゲット21 知識へのアクセス強化

最良の利用可能なデータ、情報及び知識を、意思決定者、実務家及び一般の人々が利用できるようにする。

ターゲット22 女性、若者及び先住民の参画確保

先住民及び地域社会、女性及び女児、こども及び若者、障害者の生物多様性に関連する意思決定への参画を確保

ターゲット23 ジェンダー平等の確保

女性及び女児の土地及び自然資源に関する権利とあらゆるレベルで参画を認めることを含めたジェンダーに対応したアプローチを通じ、ジェンダー平等を確保