奄美大島に生息するリュウキュウアユを保全する価値

リュウキュウアユが生息する河川
評価対象 奄美大島に生息するリュウキュウアユを保全する価値
区分 国内
場所 鹿児島県
評価年 2009年
評価の実施者 阿部信一郎/井口恵一朗/玉置泰司
評価に至った
経緯

  • 奄美大島には絶滅が危惧されるリュウキュウアユが生息しており、奄美大島では、リュウキュウアユに対して条例による捕獲の禁止や河川改修工事の工期短縮、更には多自然工法を取り入れるなどといった様々な保全対策がとられている。
  • 一方、度重なる水害の発生により、リュウキュウアユの保全か人々の安全かで意見が対立した経緯もある。
  • 以上のような背景から、本種の持続的な保全活動を進めるためには、リュウキュウアユに対する個人の価値観に関連する社会的・心理的要因を把握し、合意形成を促す社会環境作りが必要であると考え、CVMにより評価価値と関連する個人の属性を分析により抽出した。

評価手法 CVM
評価結果
  • 奄美大島において郵送によるアンケート調査を実施し、東京都、鹿児島県を対象に、Webアンケート調査を実施した。(有効回答数 郵送:77人、Web:992人)
  • リュウキュウアユが絶滅しないよう、現在の生息環境を維持することに対する支払意思額を尋ねた。

■CVMによる評価結果

  • 奄美大島では、リュウキュウアユのいる自然環境が子どもの教育に役立っていると考えている人が本種に対し高い価値を感じ、水害の経験がある人は低く感じていることが分かった。
  • 島外では、自然保護に対する関心が高く、自然の中で余暇を過ごすことを楽しみに感じる人ほど価値を高く評価している。鹿児島県では、奄美大島の来訪歴が有効な要因として採用された。
支払意思と関連する個人属性抽出が研究テーマであるため、調査で得られた支払意思額は明示されていない。
参考資料

陸水学雑誌(Japanese Journal of Limnology)71:185-191(2010)
阿部他(2010)『奄美大島に生息する絶滅危惧種リュウキュウアユに対して人々が持つ価値観に影響を及ぼす要因』陸水学雑Vol71,pp.185-191